今年も子供たちに靴と笑顔を-。阪神鳥谷敬内野手(37)が20日、今月上旬の2泊4日ミャンマー訪問を振り返った。15年に発足した一般社団法人「レッドバード」の理事を務めており、アジアの恵まれない地域の子供に靴を届ける活動を継続中。今オフもミャンマーの学校に約500足を届けた。今回は日本財団が推進する活動「HEROs ACTION」の一環で遊具の贈呈、野球教室にも参加。来季の遊撃再奪取へ決意を新たにした。

デコボコの道路に体が激しく揺らされる。早朝5時にミャンマーの都市ヤンゴンを出発し、車で片道4時間30分。手を振り出迎えてくれた子供たちの笑顔を目にした瞬間、疲れは吹き飛んだ。「靴が届くのを楽しみにしてくれていて、本当にうれしかった」。鳥谷はそう言って優しく笑った。

14年、フィリピン・マニラで野球教室に参加して知った。「子どもが靴を履いていない。ここに必要なのはグラブじゃない」。以来、オフになると危険を承知の上で、マニラのスラム街やタイ西部のメラ難民キャンプまで靴を届けていた。今回は約500足を段ボール数箱に詰め込み、エイヤワディ地域にあるセイップニー小中学校を訪問した。

同小中学校は日本財団の支援で建設された学校。生徒総数250人の大多数はサンダルかはだしで生活していた。靴の履き方、ひもの結び方を1人1人に教えていく。クシャクシャの笑顔で手を合わせて一礼される度、胸がいっぱいになった。

「今までは個人個人に靴を渡していたんだけど、今回は学校に贈呈して、運動する時に渡してもらう形にした。学校に管理してもらえば、継続的に子供たちに靴が渡るようにしてもらえるしね。サンダルと違って靴はクッション性があるから、みんなジャンプしたりして喜んでくれた」

今回は日本財団が推進する活動「HEROs ACTION」とコラボする形で遊具も贈呈。滑り台やブランコ、シーソーなど5種類の遊具から列が途切れることはなかった。もともと、この地域に遊具がある学校はなかった。遊具贈呈は、児童労働から子供を学校へ戻す狙いもあるという。

全員に靴を履かせ終わると、最後は持参したグラブとボールで子供たちとキャッチボールも行った。

「野球を知っている人が、親も合わせて誰もいなかった。ミャンマーではサッカーとか伝統的なスポーツのチンロン、格闘技なんかが人気みたい。これからは野球にも興味を持ってもらえるように、自分も頑張らないとね」

遊撃レギュラー再奪取に向かう19年。また1つ、モチベーションが加わった。