【ホノルル(米ハワイ州)6日(日本時間7日)=前原淳】俺も鉄人! 広島田中広輔内野手(29)が来季、2人の鉄人に挑む。3年連続フルイニング出場を達成し、セ・リーグ現役選手では最長の568試合となった。来季は阪神鳥谷の遊撃手最長記録と、衣笠の球団記録のダブル更新が期待される。丸がFAで移籍しても、コイの新鉄人がチームをけん引する。

ハワイでの優勝旅行も残り1日となり、田中は来季にそびえる大きな壁を見つめた。今季で3年連続全試合フルイニング出場を果たした。連続フルイニング出場は568試合に伸ばし、来季は2人の鉄人超えに挑むことになる。

まずは遊撃手の新記録。「鳥谷さんの遊撃でのフルイニング出場667(試合)がある。そこだけを目指すわけではないけど、1試合1試合を積み重ねて、来年も全試合出られるようにとは思っている」。プロ入りから目標にしていた。守備範囲が広く、神経をすり減らすポジションでもある遊撃でトップを目指す。

来季ちょうど100試合目で鳥谷超えを果たせば、その先には広島の大先輩で、世界の鉄人超えも待っている。今年4月に71歳で亡くなった衣笠氏の連続フルイニング出場は678試合。「それも頭に入れつつ。でもチームが勝つこと。それを一番に頭に入れてやりたい」。チームのために働けなければ記録など二の次だ。

苦境を乗り越えたからこそ挑戦できる。今季はリーグ2位の17死球。4月17日ヤクルト戦では右手に死球を受けて倒れ込むも、8月8日中日戦では左膝に死球を受けて担架に運ばれるも、グラウンドに立ち続けた。「自分でできると思っている。本当に無理なら休もうと思っている」。肉体以上に強い精神力が、偉大な記録挑戦を可能にする。

同学年の丸がFAで巨人へ移籍した。チームを引っ張っていく気持ちは「年を重ねるにつれて強く思う」。巨人は丸だけでなく、オリックス中島やマリナーズ岩隈ら大型補強に成功。東海大の先輩である原監督が就任した。因縁深い対戦も「またちょっと違うジャイアンツとの対戦になるかな。でもやることは変わらない。自分たちの野球をやるだけ」とクールに受け流す。4年連続の完走を目指す来季、新たな「鉄人」が誕生する。【前原淳】