無欲の再出発だ。ソフトバンク内川が、福岡市内のヤフオクドーム内で契約交渉に臨み、現状維持の年俸4億円でサインした。来季は2年契約の最終年。故障にも苦しみ不本意な成績に終わった今季から、心機一転で復活の来季に臨む。

内川は悟りを開いたかのように、穏やかな顔だった。2000安打こそ達成したが、右膝痛などで移籍後最少の71試合出場にとどまった。このオフは12月に初めてハワイで自主トレ。過去の自身の映像を振り返るなど、自分を見つめ直した。行き着いた答えは「無欲」だ。

「一番楽に打っていたのは08年。欲もなく、ただ打つんだという意識で一番シンプルにやっていた」。だが4番、主将と重責を背負うようになり「4番だからとか、打席に付加価値を付けようとしすぎていた。ヒットの延長がホームランと思ってやっていたのが、ホームランの打ち損じがヒットのように考えていた部分もあった」と心境の変化が邪魔をしていたことに気がついた。「08年型とか、08年に近づけるではなく、新たなものを生んでいけたら」。原点回帰ではない。一から出直し、19年型の内川で復活への再スタートを切る。【山本大地】(金額は推定)