阪神川藤幸三OB会長(69)が10日、鳴尾浜での新人合同自主トレを視察し、ルーキー勢に「金言」を授けた。寒さが肌を突き刺すなかパイプ椅子に座りながら、見守り続けた。新年の第一声は、新人への心温まるアドバイスだ。

「時間に使われるんじゃなく時間を自分でどう使っていくか。(練習は)2、3時間で終わる。あとの21時間が、自由時間になる」

数々の一流選手を見てきた浪速の春団治ならではの思いがある。「ワシが入ったときの藤田平さんや」。67年ドラフト9位で高卒入団。若かりし頃、寮の部屋にいると天井から「コツッコツッ」と音が聞こえてきた。午後9時過ぎだ。屋上を見ると藤田平が素振りしていたという。「タイラさんは自分の時間の使い方をやっていた」。通算2064安打の名球会打者とのやりとりをいまも記憶する。

藤田 1日何時間や?

川藤 24時間です。

藤田 それが分かったら変えられる。

時代が移ろっても変わらないものがある。川藤会長は「この世界、どう1日を過ごすか。先輩の話や動きから端々に感じた」と続ける。ルーキーの自覚が試される。【酒井俊作】