目指せ開幕ローテーション! ソフトバンク田中正義投手(24)が5日、宮崎キャンプA組(1軍)の打撃投手に1番手で登板した。育成周東、釜元の左打者2人に41球を投げ、安打性は7本。最速146キロと上々の滑り出しを見せた。1軍デビューした昨季は中継ぎで10試合登板したが、今季は首脳陣から先発枠を争うように命じられている。5球団競合で入団した大物が「後がない」3年目に、その力を発揮する。

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打撃投手とはいえ“開幕投手”を任された田中に対する首脳陣の期待は大きい。育成周東には20球で安打性は3本、釜元には21球で4本だった。田中は「もうちょっと腕が振れれば。コースを間違わなければ抑えられる」。この日は最速146キロの直球で打者を押し込み、打撃ケージから出ないファウルを2人から16本。釜元からは空振りも奪った。

見守った工藤監督は「ストライクもたくさん投げられていたし、ファウルもあった。力はある。いいんじゃないか」と目を細めた。キャンプ初日から約80球、約50球と連投。田中は「体は問題ない」とプロ1年目に悩まされた右肩の状態もよく、表情も明るい。

昨年は中継ぎで10試合登板。だが、本来はエース候補。倉野投手コーチは「先発として争ってもらいたいと本人にも伝えている」と、中継ぎではなく開幕ローテ候補としてA組に入れている。今後は実戦へ向け球数を増やし、先発として調整させる。16年ドラフトで5球団競合の即戦力右腕は2年間結果を残せず「1軍で投げられるのであればどこでも」と話すが、心の中では先発を目指している。

倉野投手コーチは「危機感は感じるが、それがいい腹の据わり具合になっている」と精神的成長を認める。これまでは完璧主義者だった田中は「自分の(目指す)投球フォームが100点じゃないと試合に投げられないわけじゃない。少しずつよくなれば。球速ももっと出る」と、形よりも結果を追い求めるように変わってきた。プロ入りから取り組む、力まずに体全体を使う投球フォームは未完成ながら、今季は勝負できるところまでは来ている。

守護神サファテやモイネロ、野手にもデスパイネ、グラシアルがおり、外国人枠の都合上、先発のバンデンハークとミランダ、スアレスは全員がローテにはいられない。和田も開幕に間に合うかは不透明。田中にもチャンスは必ずある。【石橋隆雄】

◆田中正義(たなか・せいぎ)1994年(平6)7月19日、横浜市生まれ。小1から野球を始め、創価、創価大を経て16年ドラフト1位でソフトバンク入団。昨季1軍デビューし、10試合に登板。0勝1敗、防御率8・56。187センチ、88キロ。右投げ右打ち。

◆ソフトバンク田中正義のこれまで

【1年目】16年11月の入団会見で「沢村賞」と目標を書いた。17年の春季キャンプ中に右肩に違和感が出た。5月から投げ始め、6月23日に3軍戦で登板し、再び状態が落ちた。9月に3軍戦で投げ、9月23日ウエスタン・リーグ阪神戦に先発。3回3安打2失点。この年の2軍戦登板はこの1試合だけ。

【2年目】春季キャンプからアピールし開幕1軍入り。4月1日オリックス戦で1軍デビューし、10試合に登板。13回2/3を投げ0勝1敗、防御率8・56。被本塁打6で5月25日に降格。6月は2軍で4試合を投げたが、体調不良で約2カ月離脱。

◆ソフトバンク高村投手コーチのコメント ある程度ゾーンに集められていたし、段階としては順調。去年と投げ方やフォームに違ったところも見られるし、いい方向に変わっている。