期待の新戦力が躍動した。楽天ドラフト1位の辰己涼介外野手(22=立命大)が17日、ロッテとの練習試合で実戦初安打となる「プロ1号」を放った。無風状態で逆方向の左翼席まで運ぶ2ラン。マルチ安打も記録し、片りんをのぞかせた。4番候補の新外国人ジャバリ・ブラッシュ外野手(29=エンゼルス)も、左翼後方のネットに突き刺す弾丸ソロで「来日初アーチ」。ハイレベルな競争で昨季最下位から巻き返す。

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細身の体に秘めたパンチ力はだてじゃない。ロッテ有吉の外角高め139キロを逆らわずにはじき返した辰己には確信があった。「いったんじゃないかと思いました」。前日にドラフト6位の渡辺佳明内野手(22=明大)が12球団のルーキー最速で「対外試合1号」を記録していた。「他人のことは全然気にしていないです」。24時間前の言葉とは裏腹にベンチで渡辺佳に祝福され、本音がこぼれた。「お前の後に続けたわ」。ドラ1の面目躍如だった。

2試合で無安打の後、平石監督に声をかけられた。「お前、結果が欲しいんか?」「欲しいです!」「欲しい欲しいと思って打てるんなら、みんな欲しいと思うわ。ドッシリ構えてやれ」「はい!」「何をフルで働かせるのがフルスイングか分かるか?」「バットのヘッドです!」「そうや。でも、お前は体ばっかりフルスイングしてるぞ」。強く振ろうとするあまり、体の開きが早くなっていることを指摘された。本塁打直前の初球を空振り。「1球目はフルスイングじゃなく大振り。これがダメなスイングだと軌道修正できた」と結果につなげた。

満足はしない。中前打した6回の第3打席を含め「正直、本塁打以外は内容が良くない。まだまだ全然、練習が足りない。大振りとフルスイングの境目を自分の中で突き詰めていかないと」。7回に飛び出した、外野の定位置を争うオコエの1発も負けん気をくすぐる。「オコエは打撃が固まってきつつある。僕も自分のフォームを固めていきたい」。開幕スタメンへ、一気にギアを上げていく。【亀山泰宏】

◆辰己涼介(たつみ・りょうすけ)1996年(平8)12月27日、神戸市生まれ。藤原台小では大淀ボーイズに所属し、有野中では神戸三田ドジャース。社高では投手として最速148キロを記録。立命大ではベストナイン3度。リーグ通算で歴代1位の田口壮(123安打)に次ぐ122安打。大学日本代表では4年時に主将としてハーレムベースボールウイーク優勝でMVPに輝いた。180センチ、74キロ。右投げ左打ち。