大投手からプロで生きていくための教えを請うた。日本ハムのドラフト1位吉田輝星投手(18=金足農)が18日、2軍キャンプ地の沖縄・国頭を訪れた元巨人投手の桑田真澄氏(50=野球解説者)から、直球を磨くことの大切さを助言された。「桑田2世」の異名を持つルーキー右腕は、通算173勝を挙げた背番号18の大先輩からの言葉をかみしめた。

背番号18の大先輩との対面は、身が引き締まる思いだった。吉田輝は、取材で国頭を訪れた桑田氏と約10分間、サブグラウンドのクラブハウスで対談。その後、真剣な表情で報道陣の囲み取材に応じ「しっかり直球を磨いて欲しいという話でした。自分の大事なもの、直球を磨いていかないといけないなと、あらためて思った」。巨人で通算173勝をマークした右腕の金言が心にしみた。

金足農時代は直球に強い自信を持ってきた。「変化球がダメであればどんどん直球をという考えだったんですけど、プロに入って(投球の)全体をしっかりまとめないといけないなという考えになった」。プロ入り後、多彩な変化球を持つ先輩投手を目の当たりにし、新たな意識も芽生えていたが迷いは消えた。「直球以外(の変化球)に目が行きがちだった。気持ちがしっかり決まった」。まずは直球という原点回帰のきっかけとなった。

助言を受けた桑田氏とは、背番号18以外にも共通する部分が多い。お互いに夏の甲子園を沸かせたヒーローとして、ドラフト1位でプロの世界へ飛び込んだ。吉田輝が175センチ、桑田氏が174センチ(入団当時は登録176センチ)と身長もほぼ同じ。昨夏の甲子園では、吉田輝が登板した準決勝の始球式に桑田氏が登場する縁もあった。

桑田氏は「甲子園のスーパースターであり、またプロ野球でもスーパースターになるような投手を見たい。ぜひ彼にはそうなってもらいたい」とエールを送った。桑田氏のように直球のキレや伸びで勝負できる投手を目指す吉田輝は「球速もトレーニングなどをして上がればそれに越したことはないですけど、とりあえず意識するのはキレとコントロールというのを意識していきたいと思う」。武器である直球をさらに磨いていく。

◆吉田輝と桑田氏の縁 吉田輝の金足農が昨夏甲子園で準優勝の快進撃をみせたが、34年ぶりに進出した準決勝(日大三戦)の試合前、レジェンド始球式に登場したのが桑田氏だった。桑田氏は2年生だった84年夏に、準決勝の金足農戦で逆転2点本塁打を放ったという因縁もある。元巨人で専大北上(岩手)の中尾孝義監督が、公式戦で吉田輝と対戦した際「例えるなら桑田みたいな感じ」と、かつてバッテリーを組んだ右腕を引き合いに、フィールディングやけん制の技術なども称賛。以来、吉田輝は「桑田2世」と表現されることがある。