マイクを握った虎の将が冗舌になった。

阪神矢野燿大監督(50)が6日、独自の優勝理論を説いた。

大阪市内のホテルで行われた阪神タイガース激励会に出席。球団、阪神電鉄関係者計205人を前に壇上に上がった矢野監督はオープン戦を戦うナインを見つめ「僕が一番手応えをつかんでいることは、みんなの走る姿」と切り出した。

2軍監督としてファーム日本一に輝いた昨季もチームに走ることを徹底させた。筒井外野守備走塁コーチがミーティングで話したという「走姿顕心(そうしけんしん)」という言葉を用いて「他の球団と比べても一塁までの走る姿。投手は打たれた後でバックアップ行くのはすごく大変。でも走る姿に、僕はこのチームの手応え、可能性を感じています」と明かした。

ここから矢野監督の言葉がさらに熱を帯びる。「優勝するチームは80勝すると思います。逆にいうと60敗できるわけです」。その60敗が重要だと強調する。「今言ったような走る姿を、負けたときもみんなが見せることで、逆転勝ちが増える可能性もある。スランプも短くなっていくと思います」。その姿がファンからも共感を得て負のスパイラルを断ち切ると訴えた。

矢野監督は客観的に戦力分析して現時点で広島、巨人が優位であると認めた上で「そういうことを続けていくことで、僕は強い広島、巨人、他のセ・リーグのチームにも勝っていけると思います」とキッパリと言った。

「どうかいい60敗をしながら、そしてみんなの中から気持ちがあふれるような走り方、ボールを追いかけるような姿、そういうものを今年1年見せていきながら、最後にはタイガースファンと一緒に喜び合えるように力を合わせてやっていきましょう」。そう言って熱意あふれる5分36秒のスピーチを終えた。【桝井聡】

 

阪神藤原崇起オーナー(67=電鉄本社会長)も優勝を指令した。あいさつに立ち「タイガースのミッションはどのチームにも勝つこと、どのチームにも負けないこと」とナインを叱咤(しった)激励。「オレが引っ張るんだという強い気持ちを持って戦い、秋に矢野監督と栄冠の祝杯をあげましょう」と気勢を上げた。

 

阪神揚塩球団社長 チームスローガンの「ぶち破れ! オレがヤル」のように、実戦の中で、この試合をオレが決めるんだ、そしてピンチの場面でピッチャーはここはオレが抑える、きょうは勝つ、という強い気持ちで臨んでいただきたいと思います。昨年の悔しさを1年間忘れずに戦っていきたいと思います。そして秋にはファンのみなさまに喜んでいただいて、そして我々一緒にビールかけができることを期待しています。