稲葉監督が最後の実験を終えた。

11月のプレミア12、来年の東京五輪へ「まだ見ていない力のある選手を試す最後のチャンス」と位置付けていたメキシコ戦。前夜は機動力を封じられ、左打者が続いた打線も分断されて敗れた。だが、軌道修正した。右投手が続いた相手のモーションをしっかり把握し、5盗塁で揺さぶった。初回は吉田正の満塁弾がまぶしかったが、大山の二盗後に続いた田村の適時打も効いた。

指揮官は「昨日はいろいろ走塁でアウトになったが、積極的にみんなで勇気を出した。武器になるなと」とお家芸を再確認した。国際経験の少ない平均年齢24・7歳の若手が、特有の動くボールを体験したことも大きい。「収穫の大きい2試合だった。足を大きく上げるのか小さくするのか。ポイントを前で打つのか、中に入れるのか。選手によって考え方が違う。若い選手が経験できたのは良かった」と手応えを口にした。