広島鈴木誠也外野手(24)が3号逆転3ランで「日本の4番」を印象づけた。オリックス戦に4番右翼で先発。初回に相手の4番吉田正の右越え先制2ランを右翼で見送った後、7回にお返しの1発をたき込んだ。侍ジャパンの稲葉監督から日本の4番として期待されており、10日の日本代表対メキシコ戦で満塁弾を放ったライバルに、けた外れの存在感を見せつけた。

ボール気味の高めの直球を、鈴木は思い切りしばき上げた。0-2の7回表無死一、二塁。カウント2-2から高めの直球をファウルでしのぎ、ワンバウンドのフォークを見極めた直後。高低の揺さぶりを見極め、7球目を左翼席の芝に突き刺した。「ドライブがかかってたんで入るとは思わなかった。タイミングが合って自分のスイングができた」。進化を証明する3号3ランだった。

高めを捉えたことに意味がある。キャンプでテーマに定めて取り組んできたのが高め対策。最も打つのが難しいインハイをターゲットに定め、ティー打撃でたたき続けた。通常のやり方に加え、右手だけ、左手だけ、左手を上にして両手で握る逆グリップ…。バットを出す角度、強くボールをとらえる感触を養った。進化を見届けた緒方監督も「すごいのひと言だよ」と絶賛するしかなかった。

侍ジャパンで4番を争うライバルに、高い打撃技術とパワーを見せつけた。鈴木は初回、右翼で吉田正の右越え場外2ランを見送った。「(打球が)消えていったので(防球ネットを)越えたんじゃないですか」と振り返る。吉田正が侍の4番として10日のメキシコ戦で満塁弾を放った場面は、テレビで見ていた。「相手チームの4番は気にしていない」と話したが、かっこよすぎる逆転のお返し3ランだった。

鈴木は2月6日、宮崎・日南キャンプを訪れた日本代表稲葉監督から「4番はチームを勝たせるというポジションだと思うので、そういうところで期待はしたい」と言われた。それを正面から受け止め、こう言った。「(DeNA)筒香さんであったり、4番でもっと活躍している選手がたくさんいるので、その人たちに負けないように成績を出して、みんなに認めてもらって4番を打ちたい」。その決意にブレはない。

不動の4番鈴木は、リーグ4連覇を狙う広島を今年もけん引する。そして必ず、ジャパンの屋台骨になる。【村野森】