ヤクルト高梨裕稔投手は、ウイニングボールを手にホッとしたような笑顔を見せた。日本ハムからトレードで新加入し、初勝利を挙げた。

初回は直球が入らず先頭に四球を与えたが、立て直した。キレのある直球を中心に、フォークやカーブでカウントを整えて6回を被安打3の7奪三振で1失点。「本当に緊張したけど、なんとか粘った。新天地で頑張ろうと思っていた中での勝利なので、うれしい」。

新しい調整法に挑戦していた。登板予定だった3月10日のソフトバンク戦が雨天中止となり、ブルペンで106球を投げた。翌日の投手練習で状態の良さを感じた。日本ハム時代は登板2日前にブルペン入りしていたが、前日に入ることで肩の状態が上がることに気付いた。「負荷をかけた翌日の調子が良かった。環境が変わったことをきっかけに見直してみるのもいい」。今回も前日入り。移籍を前向きに捉え、“勝利のルーティン”を見つけた。

チームの連敗を止め、今季初勝利を挙げた右腕を小川監督は「非常に気持ちの入った投球だった」と絶賛すれば、田畑投手コーチも「理想に近い内容だった」と手放しで評価した。高梨は「優勝に貢献できるように続けていきたい」と力強かった。【保坂恭子】