侍ジャパンにも選ばれた高卒3年目右腕のオリックス山本由伸投手(20)が、先発再デビュー戦で強力ソフトバンク打線を完璧にねじ伏せた。

17年10月9日ロッテ戦以来、約1年半ぶりの先発登板。「登板前から若月さんと『真っすぐで押せるからそこは絶対に押し切ろう』と話をしていました」と終始150キロ超えの直球を軸とし、2日までチーム打率3割1分9厘と猛威を振るっていた打線を封じ込め、8回1死までノーヒットノーランを続けた。

終わってみれば9回1安打無失点。圧倒的な“完封劇”に球場のファンが酔いしれた。「ここまでしっかりと準備してきたことが試合に出せた。相手もいい投球をしていたので、粘り負けないようにと思って投げました」とプロ入り後最多の100球に手応えをみせた。

2年目の昨季はセットアッパーとして8回を任され、54試合でリーグ2位の32ホールドを記録しブレーク。先発転向へ向け、シュートや昨季はあまり使わなかったカーブも磨き、変化球でも空振りを連発。この日も打者のタイミングをずらすため、ワインドアップから投球モーションのスピードに変化を加える工夫も凝らし、8奪三振を奪った。

打線の援護に恵まれず、惜しくも白星を挙げることはできなかった。チャンスで沈黙した打線に西村監督は「絶対勝たせてあげないとダメでしょ。『何やってるんだ!』と言われてもしょうがない。恥ずかしいです」と語気を強めたが、若返った新生オリックスの希望の光として、新たな“新戦力”が今季初登板で強烈なポテンシャルの高さを示した。【古財稜明】