野球好き歌手の河野万里奈がプロ野球セ・リーグの4月ベストナインを選出した。

「僭越ながら、個人的に胸に響いたベストナインを選ばせていただきました。軸にした視点は、『その瞬間の輝きが強かった』『ぜひ伝えたい素敵な成績、エピソードがあった』の2つです。各ポジション1人に絞るのがとても難しかったです。より野球を、野球選手さんを、好きになる一助となれたら嬉しいです」(河野万里奈)

野球好き歌手が選んだ4月ベストナイン/パ・リーグ

先発投手=床田寛樹(広島)

2019年、春。4連覇を狙うカープは苦しんでいた。そんな中でもプロ初完投を含む4勝を挙げ、救世主となっているのが床田投手。チームが負けの渦に飲まれかけているときも要所で床田投手が勝ちをもたらすことで、チームは勝利の味を忘れずにいられて、8連勝も成しえたのではないか(河野調べ)。歌舞伎の女形が似合いそうな涼しげで優しいお顔だちも素敵。

4月20日の広島対DeNA 自身3連勝を飾りお立ち台で「3」のポーズを作る床田(撮影・栗木一考)
4月20日の広島対DeNA 自身3連勝を飾りお立ち台で「3」のポーズを作る床田(撮影・栗木一考)

☆迷った枠

大野雄大(中日)

「口から生まれたサウスポー」が帰ってきた! 大野投手が笑っていると、チョケていると、「そうそうコレコレ!」という安心感がある。4月16日、7回途中1失点の好投で今季初勝利。実に2年ぶりの白星だった。マウンドのシルエットは幾分ほっそりしていた気がした。調べてみると「ビールかけまで禁酒」しており、約5キロ体を絞ったという。またたくさん活躍して、たくさん面白いことを言ってください!

2年ぶりの勝利に、笑顔でお立ち台に向かう中日大野雄大(2019年4月16日撮影)
2年ぶりの勝利に、笑顔でお立ち台に向かう中日大野雄大(2019年4月16日撮影)

リリーフ投手=五十嵐亮太(ヤクルト)

ちょ、待てよ。誰が予想できただろうか? 平成最後の日。勝利数ランキングの頂点には、五十嵐亮太が君臨していた。12球団トップの5勝。リリーフで、である。昨オフホークスから戦力外通告を受け、10年ぶりに古巣に帰ってきたベテラン右腕。ベンチで声を張り上げる姿も印象的。おかえりなさい。かつてほどキムタクには似ていないが、復帰後初のお立ち台で「ただいま」と口にしたときの穏やかな笑顔は世界一かっこよかった。

4月5日のヤクルト対中日 勝利投手のヤクルト五十嵐はカメラを持つつば九郎に笑顔を見せる(撮影・鈴木みどり)
4月5日のヤクルト対中日 勝利投手のヤクルト五十嵐はカメラを持つつば九郎に笑顔を見せる(撮影・鈴木みどり)

捕手=梅野隆太郎(阪神)

4月9日、史上69人目のサイクルヒットを達成。捕手に限れば4人目の快挙だった。その後も打っては打率.340でリーグ3位、守っては青柳投手を初完封、PJ(ジョンソン投手)を初お立ち台に導く。「勝つバイ!」と新たなキメ台詞を披露するなどムードメークも担う。チームスローガン「オレがヤル!」を最も体現して4月の虎を最も咆哮させた男。ちなみに梅ちゃんさんとわたしの出身地は、お隣の市。うれしい。

4月9日の阪神対DeNA サイクルを達成した梅野(撮影・上山淳一)
4月9日の阪神対DeNA サイクルを達成した梅野(撮影・上山淳一)

一塁手=ロペス(DeNA)

筒香選手が離脱した試合で4番に座って放った逆転2ランなど、印象的な一撃が多かった。わたしは個人的にロペス選手が好きだが、そのきっかけは、昨季神宮での試合でカットを繰り返して12球粘った末にレフトへホームランを叩き込んだシーンだ。豪快な印象が強いが、その陰にあるしぶとさ、ピンチでは率先してマウンドに声をかけに行く温かさ、信じられないくらい派手柄な私服のTシャツ…など、チャモには良さが詰まっている。

4月30日のDeNA対ヤクルト 4回裏DeNA無死、ソロ本塁打を放った筒香(左)とタッチを交わすロペス(撮影・狩俣裕三)
4月30日のDeNA対ヤクルト 4回裏DeNA無死、ソロ本塁打を放った筒香(左)とタッチを交わすロペス(撮影・狩俣裕三)

☆迷った枠

ビシエド(中日)

本調子ではないながらも、4月27日阪神戦で逆転3ランを放ったように、相手にとって怖いところで打つ怪物的イメージは健在。4月23日広島戦、先発のアドゥワ誠投手のもとへ行き、スペイン語で話しかけたが会話が成立しなかったエピソードがハートフルすぎて選出しようかと迷った(アドゥワ投手はお父様がナイジェリア人のハーフだが、日本語しか話せない)

4月12日の阪神対中日 6回表中日1死一塁、右越えに2打席連続の2点本塁打を放つビシエド(撮影・上田博志)
4月12日の阪神対中日 6回表中日1死一塁、右越えに2打席連続の2点本塁打を放つビシエド(撮影・上田博志)

二塁手=山本泰寛(巨人)

ライブの合間に速報を見たらいつも山本選手がヒットを打っている気がする。11試合31打席に立ち打率.346。2軍から上がってきてからの勢いたるや。怪我で離脱した吉川尚輝選手の穴を見事に埋めた…どころか、むしろそこに山すら築き上げている。「ただで帰らないぞ」と気を吐いているような凛とした目つき。辞書の「チャンスを掴む」のページには「山本泰寛のこと」と書いてありそう。

4月27日の巨人対DeNA 4回裏巨人1死一、三塁、山本はバットがグリップエンドから二つに折れながらも左前適時打を放つ(撮影・松本俊)
4月27日の巨人対DeNA 4回裏巨人1死一、三塁、山本はバットがグリップエンドから二つに折れながらも左前適時打を放つ(撮影・松本俊)

☆迷った枠

阿部寿樹(中日)

たれ目にお髭が絶妙マッチで、優しめの秦の始皇帝のようなルックス。幾千もの騎馬隊を率いていそう(河野調べ)。4年目にしてついにつかみ取った開幕スタメンから、4月終了時点まで打率.327、2本塁打、13打点。5月にも期待!

4月17日の中日対DeNA 試合終了、お立ち台で「最高です」と叫ぶ阿部(右)(撮影・森本幸一)
4月17日の中日対DeNA 試合終了、お立ち台で「最高です」と叫ぶ阿部(右)(撮影・森本幸一)

三塁手=太田賢吾(ヤクルト)

遊撃手と迷いましたが、わたしが見て惚れ惚れした試合では三塁を守っていたため太田選手を選ばせていただきました。

「寂しさもあったけれど、移籍してよかった」と思わせてくれたファン孝行な選手。グッチ(坂口選手)の離脱もあり1番に抜擢されてから、初スタメンで猛打賞、連日のマルチ安打など、期待をはるかに超える活躍ぶり。4月20日には日本ハムから移籍後初ホームランでチームの勝利に貢献。4月終了現在で、すでにキャリアハイの22安打をマーク。輝いているよ、ケリー!

4月9日の広島対ヤクルト 5回表ヤクルト2死一、三塁、太田(右)は左前適時打を放つ(撮影・栗木一考)
4月9日の広島対ヤクルト 5回表ヤクルト2死一、三塁、太田(右)は左前適時打を放つ(撮影・栗木一考)

遊撃手=坂本勇人(巨人)

「盛者必衰」という言葉があるが、坂本勇人の前では無効らしい。超一流を走り続ける坂本選手13年目の春は、26試合連続出塁。ここまで全試合出塁している、ということである。もう…ただただ…偉大です…!

4月19日の阪神対巨人 8回表巨人2死一塁、坂本勇人は中越え2点本塁打を放つ(撮影・奥田泰也)
4月19日の阪神対巨人 8回表巨人2死一塁、坂本勇人は中越え2点本塁打を放つ(撮影・奥田泰也)

外野手=バレンティン(ヤクルト)

4月25日には青木→山田→バレンティンと3連発、28日にも1発ずつホームラン。4月のヤクルト打線には何度も思考回路を破壊された。さらにバレンティン選手は、たとえ負け試合でも手厚いファンサービスを欠かさない。ちなみにわたしが勝手に応援ソング『COCO MY OASIS』を作って動画をアップしたときも、見つけ出してリツイートしてくださった。ファン想いである点も含めてベストナイン選出!

4月25日のヤクルト対巨人 3回裏ヤクルト無死、青木、山田哲に続き、ソロ本塁打を放ち、雄たけびを上げるバレンティン(撮影・狩俣裕三)
4月25日のヤクルト対巨人 3回裏ヤクルト無死、青木、山田哲に続き、ソロ本塁打を放ち、雄たけびを上げるバレンティン(撮影・狩俣裕三)

外野手=近本光司(阪神)

いつも気づけば当たり前のように塁に出ている近本選手。阪神ファン希望の新人コンビ「キナチカ」の「チカ」。現在11戦連続安打中。最も印象的だったのは4月25日のDeNA戦、9回表の逆転3ランだろう。足が速いこともあってか、長打率も高い。ふにゃりとした笑顔はかわいく「似顔絵を描きやすそうな選手ランキング」上位(河野調べ)。湘北高校に「スピードと感性」を与えたのは宮城リョータだが、今年の阪神にそれをもたらしたのは近本光司。

4月25日のDeNA対阪神 勝ち越しの左越え3点本塁打を放った近本光司は笑顔でファンの声援に応える(撮影・奥田泰也)
4月25日のDeNA対阪神 勝ち越しの左越え3点本塁打を放った近本光司は笑顔でファンの声援に応える(撮影・奥田泰也)

外野手=ソト(DeNA)

わたしはソト選手がホームランを打つたびに「神は居た…」とツイートする。しかし、神様じゃないことはわかっている。我々とおなじ人間なのに、誇り高いメンタリティと成績を保ち続ける。その姿が、わたしにとっては神様よりも信頼できる存在に思えるのだ。守備でのミスもあった。それでも「カンケーナイ」と前を向いた果てに、11本ものホームランを生み出した。リーグ単独1位の数字だ。明るい未来に繋がるよう祈りながらの選出!

4月27日の巨人対DeNA 6回表DeNA1死、ソトは右越え本塁打を放つ(撮影・林敏行)
4月27日の巨人対DeNA 6回表DeNA1死、ソトは右越え本塁打を放つ(撮影・林敏行)

河野万里奈(かわの・まりな)

5月21日生まれ、福岡県出身の歌手。関西学院大出身。物心がついた頃から、夏休みは兵庫・尼崎市の祖母宅に行き、家族で甲子園球場に通っていた。選手にドはまりした最も古い記憶は、04年の佐野恵太選手(東海大甲府高)。中学時代、多感な時期の女子たちとのコミュニケーションに苦しんでいた時に、鳥谷敬(阪神)の存在を知る。言葉でなく背中で語る姿に救われて以来、「鳥谷様」と呼ぶほどに崇拝。自称「鳥谷チルドレン」。甲子園から応援していた選手が各球団に散っていくため、特定の球団を応援することができない。「NPB箱推し(全体を応援している、の意)」で、現在は週1のペースで各地の球場に足を運んでいる。

2010年、「第4回アニソングランプリ」で応募者総数1万189組の中からグランプリを獲得し、翌年アニメ『Aチャンネル』のOP曲「Morning Arch」でデビュー。作詞作曲、ライブパフォーマンスのインスピレーションは9割野球選手から受けている。SNSの投稿内容の割合は、歌:野球=2:8。とにかく脳内が野球に支配されている。ライブ中のMCでも野球トークを繰り広げるため、共演者や音楽ファンをしばしば困惑させるほど。選手への愛しさ余って勝手に応援歌を作りSNSに投稿しており、昨年は西武ライオンズの山賊打線をテーマにした曲「ライオンズアラート」がややバズって喜んだ。選手の登場曲を担当することが夢の一つ。いつか鳥谷様に、ここまで育ててくださったことのお礼を言うことも夢の一つ。148センチ、右投げ右打ち。

2019年5月、テイチクインペリアルレコードより再メジャーデビューが決定。

5月15日にニューシングル『真人間入門』リリース。5月19日にワンマンライブ開催。

5/15リリース「真人間入門」Music Video(https://youtu.be/2dOgrXy3QVo)

野球好き歌手・河野万里奈が熱く語る/シリーズ一覧

河野万里奈
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