日本ハム西川遥輝外野手(27)が、2安打3打点で「こどもの日」に大ハッスルだ。

5日ロッテ戦(ZOZOマリン)で、1点を先制して迎えた2回2死二、三塁から左翼フェンス直撃の2点二塁打を放つと、3-1の7回にも追加点となる左前適時打。逆方向への的確な一打で、ロッテのエース格、石川を攻略した。再び貯金1とし、栗山英樹監督(58)に、球団歴代2位に並ぶ通算526勝目をプレゼントした。

青空を泳ぐこいのぼりのように、背番号7が躍動した。1点を先制した2回、2死二、三塁で打席に立った日本ハム西川は「カウントが有利だったので、思い切りバットを振った」。2ボールからの3球目。外の144キロを流し打った。左翼フェンスにぶち当たる走者一掃の2点二塁打に「イメージ通り」と、白い歯がこぼれた。7回には2死二塁から左前へ落ちる適時打。3回以降の膠着(こうちゃく)状態を破り、勝利を大きく引き寄せた。

昨季盗塁王の武器は、足だけじゃない。得点圏打率は規定打席到達者ではチームトップの3割6分と、今季は勝負強さが際立っている。敵地スタンドを埋めた子どもたちに「頑張ったら良いことがあるよ、という姿を見せたい」とコメントしていたチームきっての“モテ男”は「1人でも多く、野球をやりたいという子どもが増えたら」と、プロ野球選手としての使命感に燃えていた。

12球団で令和初となる先頭打者本塁打を記録した前日4日ロッテ戦では、攻撃中に一塁へ帰塁する際、ロッテ井上の下敷きになった。右肩の関節が緩み、痛みに耐えてプレーを続行したが、直後に盗塁を決め、この日も「大丈夫」と、いつも通りグラウンドに戻った。弱音を吐かず、不屈の精神で敵に立ち向かう姿は、なんとも頼もしい。この日の勝利で、球団歴代2位に並ぶ通算526勝目に到達した栗山監督も「よく打ってくれた。ハルキは、いろいろな部分でチームのためにやってくれている」と、最敬礼だ。

「小さい頃、テレビも漫画も見なかったから、僕にはヒーローがいなかった」と、西川は言う。「今、ヒーローのいない子どもたちのヒーローに、僕がなれたらうれしい」。夢をかなえる条件を「お母さんの言うことをよく聞くこと」と、子どもたちに訴えた心優しきリードオフマンが、初夏の始まりにチームを上昇気流に乗せる。【中島宙恵】