東大の3季ぶりの勝利は、惜しくもならなかった。リーグ戦初先発の坂口友洋投手(4年=日比谷)が9回まで散発3安打、無四球無失点と好投。

リーグ屈指の好投手である明大・森下と投げ合った。ただ、援護点がなく、延長戦へ。0-0の10回裏、2死二塁で添田に左越えへ安打を打たれ、サヨナラ負けした。

116球目だった。延長10回2死二塁、坂口はスライダーを左越えに運ばれサヨナラ負け。「(明大・森下相手で)厳しい点数になるのは分かっていました。勝ちたかったです」。顔はすがすがしかった。

走者がいなくても「動きが小さい分、ゾーンにいく」とクイック気味に右腕を振る。「普通に考えたら、力の差は分かっている。冷静に打ち取ることを考えました。内角も突きました。(2死球は)申し訳なかったですけど」。直球の最速は133キロだったが、大半は120キロ台。球威よりも、スライダーを交え、低めに集め打たせて取った。

日比谷では、3年夏の東東京大会2回戦が最高。肘を痛め、最後の1年は野手だった。「神宮で投げたい」思いが募り、現役合格。1年冬に投手に復帰し、最終学年の今春にデビューした。東大の投手が9回まで0に抑えたのは、16年春、立大戦で5安打完封勝ちした宮台康平(現日本ハム)以来だ。惜しかった。

浜田一志監督(54)は「非常に素晴らしい投球だった。報いてあげられず残念」と悔やんだ。開幕から打ち込まれる大敗続き。先週の慶大1回戦では、リーグワーストを更新する17与四死球を記録した。そこで、ブルペンでもっとも低めに集まっていた坂口を抜てきした。7連敗で、負けた事実は変わらない。ただ、「令和の光がのぞきました」。光を勝利につなげたい。【古川真弥】