楽天が難攻不落の相手エースに土をつけ、2日で首位に戻った。同点の8回に茂木栄五郎内野手(25)がソフトバンク千賀から決勝の中前適時打。22日の日本ハム戦で有原から放った決勝ソロアーチに続き、パ・リーグが誇る攻略最高難度の右腕を打ち砕いた。

茂木の心は強くなった。千賀の「お化けフォーク」に2打席連続三振のスタートでも「真っすぐに振り負けないこと」。剛速球投手攻略のセオリーを貫いた。6回の第3打席でフォークに食らいついた中前打が自身18打席ぶりのヒット。8回はフォークを見逃し、直後の真っすぐを仕留めた。いずれも「1、2打席目でフォークに対して振っていけたから」とうなずいた。

下を向かなくなった。「凡退しても、ミスをしても、次に切り替える」。シーズンを前に平石監督に宣言していた。「今までの僕とは違います。見ていてください」。18日のロッテ戦で今季唯一スタメンを外れ、そのまま出場がなかった。蓄積疲労への首脳陣の配慮だったが「僕は悔しかった」。昨季までなら違った。「『ラッキー』と思っていたかもしれない。どこか痛いところを見つけて、休もうとしていましたから」と自戒を込めて振り返る。

FA加入し、チームでただ1人フルイニング出場する浅村の姿に感化された。「試合に出続けることが、どれだけすごいことか思い知った。僕は疲れていても使い続けてもらえる存在じゃない」。たっぷりケアを施すから、引き揚げるのは決まって最後になる。以前は探していた節すらあった痛い箇所をなくすことに余念がない。無安打が続いても「休ませれば調子が良くなると思わせたくない。結果を出し続けるしかない」と歯を食いしばってきた。

平石監督は「僕らにとって(この時期)首位かどうかはどうでもいい」と繰り返すが「倒さなければいけない相手なのは間違いない」というソフトバンク。そのエースに今季初黒星をつけた。1勝にとどまらない価値はある。【亀山泰宏】