航空自衛隊千歳が、昨年本大会出場のJR北海道クラブに8-6で競り勝ち、1勝1敗で優勝戦線にとどまった。4番の伊賀俊輔主将(26=道都大)が決勝打を含む3安打2打点と打線をけん引。都市対抗野球道地区2次予選では、初めてJR北海道クラブ(JR北海道時代も含め)から勝利を挙げた。

難敵を倒し、ぎりぎりで初の本大会出場へ望みをつないだ。伊賀は1回1死一、三塁で先制の適時中前打。この回、一気に3点を挙げると、5-0で迎えた2回2死二塁で、今度は左前に適時打を放ち、6点目をたたきだした。大きく流れを引き寄せ「最初に大きくリードできたので、追い上げられても余裕を持って戦えた」と振り返った。

今季のチームコンセプトは「チャンスをつくって伊賀につなぐ」。4月中旬、今季で3年目となる巨人3軍とのオープン戦で6-1と初勝利を挙げ、5月のJABA東北大会でも明治安田生命との最終戦に勝利した。春先のJABA大会では昨年まで19連敗していたが、この1勝がチームの自信となった。7日の初戦は走者を置いた場面で伊賀に回ったのが4回1死二、三塁の1回のみ。先制され悪い流れを断ち切れなかったが、2戦目は“必勝パターン”で白星を挙げ伊賀は「頭を切り替えて、チームでやってきたことを形として出せたことが、結果につながった」と話した。

昨年の都市対抗2次予選最終戦のTRANSYS戦では、延長10回に自身の失策でサヨナラ負け。主将としてチームの足を引っ張ってしまったという自責の念から、冬場は居残りで守備練習を徹底。攻撃だけでなく守備でも軸としての自覚をより強く持ち、今季に臨んでいる。工藤康洋監督(45)も「責任感が強く、攻守ともに、チームの中心としてけん引してくれている」と信頼を置いている。

自衛隊千歳基地では通常時、主に後方支援のための物資管理などの業務についているが、非常時になれば深夜でも出動命令が出る。昨年9月の北海道胆振東部地震の際は、厚真町での人命救助活動に加わった。「いつ何が起きるか分からない。常に心の準備をしておくことは、日々の業務も野球も同じ」と気を引き締めた。

今日9日のウイン北広島戦に勝てば、JR北海道-日本製鉄室蘭シャークスの結果次第で、10日の代表決定戦に持ち込まれる。「すべては、まず明日も勝つこと。そうしないと、今日勝った意味がない」。初の本大会切符へ、1ミリの油断もなく、戦い続ける。【永野高輔】