梅ちゃん、故郷に錦だ!

阪神梅野隆太郎捕手(27)が「日本生命セ・パ交流戦」のソフトバンク戦で、逆転の6号2ランを含むプロ最多タイの4打点で快勝を呼び込んだ。

本塁打を打てば11連勝と不敗神話も伸ばし、地元福岡で格好良くお立ち台に立つと「明日も勝つバーイ!」と絶叫。首位広島に1・5差まで接近し、故郷のファンに苦手鷹戦の7年ぶり勝ち越しを約束した。

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1発で、福岡の空気を変えた。梅野会心の打球は左翼席中段に飛び込んだ。逆転の6号2ラン。着弾を確認した背番号44は、右手でバットを放り投げた。

「もう完璧でした。点を取られた後にグッチ(原口)がしぶとく塁に出てくれたので、後ろにつなぐ意識で。コンパクトに打った結果が最高の形になりました」

1点を追う4回1死。同学年の原口が9球粘って右前打で出塁。その執念を受け継ぎ、和田の3球目、直球を強振。打った瞬間、スタンドインを確信する強烈な当たりだった。1点リードの6回には2点適時打で3点差に拡大。プロ最多タイの4打点で、故郷凱旋(がいせん)に花を添えた。

「打てる捕手」と言われた福岡大時代は、大学ジャパンでも4番を務めた。ドラフト前の評判も「強打の捕手」だった。だが、今は打てるだけではない。「イメージとして、捕手は体格が大きい選手がなるものだと思われがち。でも捕手は機敏じゃないとできない。(送球など)瞬間の動きがゲームの流れを変えるポジションだから」。

抜群の信頼感でホームを守り、勝負どころでは果敢にスタートを切り、足でも流れを呼び込む。盗塁7個はセ界捕手のトップだ。

6年の時を経て「走攻守3拍子」をそろったスーパー捕手として福岡に帰ってきた。「友達だったり、家族だったり、いろんな人に来てもらっている。元気な姿をみんなに見せて。福岡であと1試合しかないんで、明日も勝って勢いづけたい」。交流戦のカード別で24勝30敗4分けと一番苦手とするソフトバンク戦で、12年以来7年ぶりの勝ち越しを誓った。

本塁打を打てば11連勝。昨年6月末に始まった不敗神話ももうすぐ1年だ。矢野監督も「飛距離も十分。地元でね。いい働きを。しっかり守ってくれて申し分ないです」と絶賛した。

左翼席から響く「梅野コール」にはマスクを脱ぎ、ミットを上げて応える。お立ち台では決めぜりふを叫んだ。「明日も、勝つバーイ!」。首位広島に1・5差まで接近。奪首の時が近づいてきた。【真柴健】