ソフトバンク内川聖一内野手(36)が決勝の6号ソロを放ち、チームを交流戦首位タイに戻した。3回2死で井納の緩いカーブに泳がされずグッと我慢した。すくい上げた打球は大きなアーチを描き左翼ポール際に消えた。

「うまく止まれた。打った後はホームランバッターにでもなったんじゃないかと勘違いするようなきれいな当たりだった」と久しぶりの納得の一打だった。

この日は一塁ではなく16年9月28日ロッテ戦以来の指名打者で出場した。デスパイネ加入後の17年以降初めて。「ただ打つだけにならないように。代打を4回より試合の流れをつかみながら」と守備中はベンチ内で立つなどスイングルームでの準備以外にも気をつけた。

開幕から状態が上がらずここまで61試合で打率2割4分2厘、17打点。交流戦の成績も打率1割台と低迷が続く。この日は一塁には好調のグラシアルが就き、左翼には本来指名打者のデスパイネが守った。18日からのセ本拠地6連戦を見越したもので、内川の厳しい立場を浮き彫りにした。「みなさん、ご存じの通り数字があまり上ではないので。球をつかまえきれていない。僕が打っていれば勝っていた試合も何試合もある」と責任感の強い男は悔しい思いを明かした。

工藤監督は「内川はずっと一塁。疲れもないことはない。グラシアル、デスパイネと3人でうまく回していけば」と説明。デスパイネは1回に左腕に死球を受け途中交代した。グラシアルは慣れない一塁で初回に失策をした。故障で離脱したここ2年と違い、36歳の内川は軽快な守備を見せている。6月からは3番起用も増えている。「悪いなりに何とかしないといけない」。交流戦は残り7試合。2年ぶりの勝率1位へ、内川の復調が鍵を握る。【石橋隆雄】