本拠地マツダスタジアムでも勝てない。広島緒方孝市監督(50)は日替わりとなっていた1番に15年8月20日以来、菊池涼を起用する策を講じるも、奏功しなかった。得点は内野ゴロと押し出しによる2得点のみ。3回は守備のミスから大量失点した。攻守に精彩を欠き、引き分けを挟み5連敗。首位巨人との差が広がり、3位DeNAとの差は0・5ゲームと迫ってきた。

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試合内容同様に、家路につく広島ファンの足取りも重かった。6試合ぶり先制もミスからピンチを広げ大量失点。ヤクルトを追い詰める反発力もなく、前半戦最後のマツダスタジアムで同一カード3連敗。引き分けを挟み5連敗を喫した。

緒方監督 なかなかこうやって地元で勝てなくて、ファンの方には申し訳ない気持ち。ただ、選手はこうして最後まで諦めずに戦っているので。連戦も続くし、また明日切り替えたいと思います。

策はまたも実らなかった。菊池涼を15年8月20日以来の1番に起用。今季8人目の1番打者も、4打数無安打。田中広の大不振もあり、今季1番打者の打率は全打順の中でも9番に次ぐ低打率2割5厘と低迷する。ほぼ毎日のように入れ替える打線がチームを良化させているとは言い難い。

重い空気は守りにも影響した。先制した直後の3回。失策と野選でピンチを広げると、ジョンソンが踏ん張れず、逆転打に3ランで一気に5点を失った。その裏1死満塁から押し出しで1点を返すも、4番鈴木は三塁への併殺打。新打線はその後も2つの併殺を記録するなど機能しなかった。

入れ替え策も手詰まり状態。実績ある長野もバティスタも、フレッシュな小園も球宴明けまで再登録できない。開幕直後、引っ張った野間には、9連戦最初の3連戦で、すべてウエスタン・リーグにも出場させる厳しさを見せたが状態向上にはつながっていない。

チームの重い空気を察してか、試合前には松田球団オーナーが緒方監督のもとを訪れた。「見に来ただけ。激励じゃない。からかいに来ただけだよ」と冗談交じりに話すも、緒方監督と約20分、談笑。「負けるのはしょうがない」と励ました。引き続き打線を入れ替えるのか、それとも固定なのか。下を向くのではなく、停滞感を打ち破る打開策を見いださなければいけない。【前原淳】