平成の怪物の1軍復帰が秒読みに入った。中日松坂大輔投手(38)が5日、ウエスタン・リーグ、オリックス戦(オセアンバファローズスタジアム舞洲)に先発し、6回4安打1失点と好投。5回無死満塁も変化球を駆使して無失点で切り抜けるなど、安定感ある103球の投球だった。報告を受けた与田剛監督(53)は「力を借りる日も近い」と語った。

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ベテラン松坂の真骨頂は5回だった。連打と四球で無死満塁と走者を背負った。だが、右腕には積み重ねた経験がある。「同点で、回も浅い。0点できっちりじゃなくてもいいかもしれないけど、1点もやりたくない気持ちで投げていました」。冷静に状況を見据えた上で、スイッチを入れた。根本を135キロの宝刀ツーシームで本塁封殺での一ゴロ併殺。続く太田も136キロのツーシームで遊ゴロに打ち取った。昨季は6勝を挙げ、カムバック賞を受賞。満塁時は12打数無安打だった。満塁無敵男が勝負どころで本領を発揮した。

この日は本塁から中堅方向へ風速5メートル以上の強風が吹く悪条件。それも、武器に変えた。

「カットボールがあまり良くなかったが、かわりにツーシームがよく動いてくれた。打球を上げられると厳しい。基本的には球を動かして、ゴロを打たせられたらいい。(風でカーブが)曲がりすぎるのも難しいが、うまくアジャストできた」

最速は141キロ。100キロ台のカーブも強風下で自在に操り、7つの三振を積み重ねた。6回103球で4安打1失点。4試合目となった2軍戦で今季初勝利。今季から復活した背番号と同じ「18」回を投げ、防御率2・00の安定感だ。門倉2軍投手コーチも「球の威力も上がっている。ミットに入る音も変わってきた。向かい風での140キロ超えも評価できる。いつでも(1軍に)持っていってくれ、ですね」と1軍復帰へ準備が整ったと強調した。

1軍は先発陣の不振もあり、Bクラスにあえいでいる。前日4日までも先発が崩れ、巨人3連戦3連敗。この日、ヤクルト戦(浜松)の雨天中止決定後に与田監督は松坂を評した。「体調の方もすこぶる状態はいいと聞いている。松坂の力を借りる日も近いと思います」。松坂も言う。「(1軍に)いつでもいける気持ちでやっている」。怪物が救世主として1軍に戻る日はもうそこまできた。【伊東大介】