広島がついに危険水域に入った。今季ワーストの連敗が7に伸び、首位巨人とのゲーム差は8に広がった。球団の過去の逆転優勝では、91年に7・5ゲーム差をひっくり返したのが最大差。今季始めてリミットを超えた。借金生活に突入すると同時に阪神と入れ替わりで3位に後退した。

緒方孝市監督は今季初めて、菊池涼介内野手をスタメンから外し、曽根海成内野手をプロ初の1番で起用した。2日前に菊池涼を「不動の2番」から1番に変更したばかり。新オーダーを2戦であきらめた。決断について「(菊池涼の)コンディションとか…。がんばってもらわなくちゃいけないけど」と説明。変則右腕青柳を攻略するため、左打者6人を先発させるオーダーで臨んだ。

その打線がつながった。2回は4番鈴木誠也外野手からの3連打で1点返した。安部友裕内野手の左前打は、チームにとって2日ヤクルト戦の4回以来、34イニングぶりの適時打。その後も波状攻撃をしかけ、12試合ぶりの2桁安打を記録。5点を取るのも12試合ぶりだった。それでも勝ちにつながらないのが苦しい。

この日は西日本豪雨からちょうど1年。昨年は東京遠征中だった。9日からのマツダスタジアムでの阪神3連戦は中止された。久しぶりのホーム、20日巨人戦を延長戦の末、制した。緒方監督にとっても、被災したファンに喜んでもらったことは忘れられない思い出だ。「そういう意味でも勝つことが一番」と話していたが、甲子園の左翼スタンドを埋めた広島ファンを喜ばせられなかった。

緒方監督は「1戦1戦、戦うだけ」と前を向く。4位DeNAとは0・5差。Bクラス転落の危機を一丸で乗り越えるしかない。【村野森】

▽広島鈴木(2安打と四球でチャンスメーク)「僕の打撃はどうでもいい。勝たないと意味がない。自分たちのできることをやるしかない。投手陣も野手陣もがんばっている。何とか調整してやるしかない」

▽広島松山(5番一塁で先発し、今季初3安打。ホームランが出ればサイクル)「今まで仕事ができていないから。(サイクルは)ぜんぜん考えてない。つなごうと思っただけ。ここから出続けていけるようにがんばりたい」