阪神が前半最終の首位巨人戦で3連敗を喫し、ゲーム差が9・5まで広がった。矢野燿大監督(50)は前半戦総括で得点力不足とミスの多さを課題に挙げたが、その言葉通りの完敗。何とか2位はキープするが借金は2に増え、後半2戦目の16日にも自力Vが消える。それでも指揮官は「元気を出して僕自身、一番ガッツポーズするくらいのつもりで頑張っていきます」とミラクル大逆襲を誓った。

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前半戦を象徴する苦戦になってしまった。甲子園のスコアボードに「0」が並ぶ。かろうじて、6回に1点を奪うのが精いっぱいだった。巨人3連戦3連敗で借金2を背負って前半戦ターン。矢野監督は険しい表情で「負けている試合ってずっとそうだけど、チャンスは作れるけど、あと1本が出ない」と嘆いた。

ちぐはぐな攻撃になったのは6回だ。先頭糸井が右前打で出塁し、一塁ベースを回る。だが、右翼亀井からの返球で帰塁が間に合わず、アウトになってしまった。直後に大山、マルテの連打で1点をかえしたが後続が倒れて、反撃もここまで…。4点ビハインドで走者をためたい局面だけにミスが浮き彫りになった。

前半戦は39勝41敗4分けだった。勝てば勝率5割に戻せる一戦で完敗。指揮官は「何、言ったって返って来ない。それは取り返すしかない。前、向いていきます」と続けた。今後の課題を問われると迷わず言う。

「やっぱり、点を取りたい。投手を助けることにもなる。チームが勝つことにもつながる。どうやって点を取るかはいまの課題」

チーム本塁打55本はリーグ5位で一発を多く望めない。「つなぐ野球」を推し進めて、リーグ1位の66犠打、59盗塁など貪欲に1つ先の塁を奪ったが、この日も決定力不足に泣いた。守備も課題だ。チーム失策数72個はリーグワースト。矢野監督も「どうとらえてどうしていくか。準備のミスは改善していける」と危機感を募らせた。エラーにならない捕球ミスが目立っては、手堅く勝ちきれない。

昨季最下位から巻き返しを図り、5月は15勝9敗1分けと健闘した。「チーム全員で戦う姿とか、凡打でも一塁まで走る姿や、やれることは個人個人、チームとして、すごくよくやってくれている手応えはあります」と矢野監督。勝負の後半戦を前に「まだまだ伸びしろのある選手ばかり。ミスを取り返してくれる後半になると思う。元気を出して、僕自身、一番ガッツポーズするくらいのつもりで頑張っていきます」と逆襲を誓った。苦しいときこそ、前を向け。矢野阪神の底力が試される。【酒井俊作】