3年ぶり40度目の出場となるヤマハ(浜松市)が、七十七銀行(仙台市)との延長10回に及ぶ熱戦を2-1で制した。

同点の延長10回表2死二塁の好機で3番矢幡勇人主将(29)が、左中間へ均衡を破る決勝の適時二塁打を放った。チームは予選から続く粘りを本大会でも発揮し、初戦突破を果たした。19日の2回戦では、JR東日本(東京都)と対戦する。

やっとの思いでつかんだ3年ぶりの勝利だった。初回に先制を許したヤマハだったが、3回に三菱重工名古屋からの補強選手・秋利雄佑内野手(26=常葉学園菊川出)の犠飛で同点に。だが、4回以降は3度の得点圏の好機で無得点。延長戦にもつれこんだ。迎えた10回の攻撃前。ベンチ前での円陣で矢幡は仲間にこう宣言した。「チャンスで自分に回ってきたら必ず打つから」。頼もしい主将が有言実行を果たした。

昨年は王子(愛知・春日井市)の補強選手として都市対抗に出場した。チームへ帰還後、室田信正監督(45)から主将に任命された。当時、チームは2年連続で都市対抗出場を逃しており、「自分が主将になって、3年連続で(都市対抗出場を)逃すことはあってはならないと思いました」。それからは、自分の考えをチーム内で積極的に発言。チームを良い方向へ導くため、神経をそそいだ。

個人の結果にこだわりすぎていたチームは、今年4月の富山大会でクラブチームに敗れた。試合後、矢幡は緊急ミーティングを開き「みんなでチームのためにどうするべきかを真剣に考えた」という。そこから選手たちの意識が変わり始め、チーム全体で試合に臨む姿勢が強くなった。5月の都市対抗予選では、投手を中心とした粘りの守りで試合を組み立て、終盤の逆転劇へとつなげた。

大舞台でも戦い方を変えずに勝利をつかんだ。次戦は、都市対抗に10年連続出場の強豪・JR東日本と顔を合わせる。主将は「次も向かっていくだけ。自分たちのやってきたことを信じて臨みたい」と、冷静に前を見据えていた。【河合萌彦】

投手陣の粘りの投球が、チームに勝利を呼び寄せた。先発の近藤卓也投手(24)は、5回0/3を2安打1失点(自責0)で試合をつくった。2番手の九谷(くたに)青孝投手(29)は、相手を寄せ付けずに4回を無安打無失点。勝ち越した直後の10回裏は、西濃運輸からの補強選手・堀田晃投手(25)が、3人でピシャリと抑えた。室田監督は「投手がロースコアを保ってくれるから、終盤に勝負ができる。今日も持ち味を出してくれました」と3人をねぎらった。