日本ハム金子弌大投手(35)が力投で白星をたぐり寄せた。オリックス12回戦(ほっともっと神戸)で6回まで無安打無失点と快投した。

蒸し暑い環境下での投球に、コンディション面での異変もあったもよう。首脳陣と話し合って6回での降板となったが、6月8日阪神戦(甲子園)以来の4勝目。チームを3カード連続で初戦白星に導いた。

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金子は、立ち上がりから気合満点だった。中16日で臨んだ先発マウンドは、圧倒的だった。「連勝していて前の試合で負けたので、今日の試合は大事だと思っていた。初回から飛ばしました」。2点の援護を受け、立ち上がりからフルスロットル。伸びる直球に宝刀のチェンジアップ、カウントが取れるカーブも効果的。わずか11球で初回を3者凡退で切り抜け、自身もチームも波に乗せた。

6回までスコアボードにゼロを並べ続けた。被安打もゼロ。快記録に期待がかかったが、7回のマウンドに金子はいなかった。蒸し暑い環境下で、初回から飛ばして今季最多の92球を投げていた。「もうちょっと投げないといけないけど、諸事情があって…」とコンディション面で何らかの異変があったもよう。栗山監督も「体の状態を含めて、本人と話をしているので」と説明。大事に至る前に両者納得の上で交代した。

これで古巣相手に19イニング連続無失点。チームの連敗を阻止した快投にも、自己評価は厳しい。試合後のヒーローインタビューでは「フォアボールだけは出したくないと思っていたけど、出してしまったので、それだけは悔いが残っています」と反省した。2回と6回に2死無走者から1つずつ与えた四球。ともに次の打者をきっちり抑えながらも、自らダメ出し。好投にも浮かれないからこそ長年、日本トップレベルの力を保ってきた。

この日は、東京オリンピック(五輪)を1年後に控えた侍ジャパン稲葉監督が視察していた。36歳で東京五輪を迎える右腕について「ベテラン、中堅含めて経験がある投手は、ここという時に大事。そういう投手も含めて、考えていきたいと思います」とコメントした。金子は「そこに関しては考える余裕がなかったので…(興味は)ないことはないですけど、それ以外にやるべきことが僕には今、ある。まずは、それって感じです」と率直な思いを明かした。それ=自身初のリーグ優勝へ向かって、今は全力を注ぐ。【木下大輔】