「和製ビッグユニット」が大仕事をやってのけた。楽天ドラフト4位ルーキーの弓削隼人投手がプロ2戦目で初勝利初完封を飾った。

散発2安打。投ゴロを処理して至近距離から悪送球した2回を除いて三塁すら踏ませず、101球で投げきり「ホッとしてます。初登板の借りを返せて良かった」。プロ初登板の4月4日の日本ハム戦は初勝利まであとアウト2つで降板していた。

日本人左腕最長身となる193センチの大きな体は、意外な? グルメで育まれた。栃木の実家は祖父、父と2代にわたって営むラーメン店。「昔ながらの素朴な『ザ・佐野ラーメン』。初めて食べても、どこか懐かしいと思える味です。小さいころから家でいっぱいラーメンを食べていたおかげで、背が伸びたのかもしれませんね」と笑う。ランディ・ジョンソン(元ジャイアンツ)にヒントを得たスリークオーターから繰り出すボールは手元で微妙に動き、的を絞らせなかった。2回に147キロを計測するなど、2軍調整期間で直球の力強さも取り戻した。

「両親に感謝を伝えて渡したい」。大きくなった「ラーメン屋のせがれ」は、ウイニングボールを大事そうにしまった。【亀山泰宏】

▽楽天平石監督(初戦をプロ初勝利初完封の弓削で10連戦の初戦を取り)「代える理由がなかった。(ドラフト2位ルーキーで好リードの太田)光も含め、言うことなしです。バッテリーでいいスタートが切れた」

▼弓削が2安打完封勝ち。完封でプロ初勝利を挙げた新人は11年5月6日牧田(西武)以来、8年ぶり。弓削の登録身長は193センチ。197センチの藤浪(阪神)が通算50勝しているが、日本人左腕では那須野(ロッテ=通算13勝)長峰(オリックス=通算5勝)の192センチを抜いて最も長身投手の白星となった。

◆弓削隼人(ゆげ・はやと)1994年(平6)4月6日、栃木県生まれ。佐野日大-日大-SUBARUを経て、18年ドラフト4位で楽天入団。4月4日の日本ハム戦(楽天生命パーク)でデビューし、先発で4回1/3、1失点(勝敗なし)。193センチ、105キロ。左投げ左打ち。今季推定年俸1000万円。