阪神近本光司外野手(24)が、球団新人では18人目の規定打席クリアを11度目の猛打賞で飾った。

右へ左へ2度目の4安打。直近6試合は16安打の量産で驚異の164安打ペースだ。セ・リーグ新人記録の1958年(昭33)長嶋茂雄の153安打に加え、56年佐々木信也の日本記録180安打超えも夢ではない。完敗で3位広島と再び4・5差に開いたが、ゴールデンルーキーの奮闘が希望の光だ。

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快音が止まらない。近本が今季2度目の4安打を放ち、11度目の猛打賞を記録した。この日も打ちに打った。それでも試合後は曇った表情だった。

「点につなげれなかったのが今日の反省です。(出塁してから)盗塁だったり、相手へのプレッシャーだったり。そういうところで相手に影響をあまり与えられなかった」

反省ばかりが口をついたが、存在感はピカイチだ。初回に先頭で右前打を放つと、5回には右翼フェンス直撃の二塁打。7回には無死一、二塁で右前打で続いてチャンス拡大。9回にも先頭で左前打を放ち、勝利への執念を見せた。

だが、打つだけでは満足できない。「1番の仕事は(本塁に)かえってくること。何かで塁に出ること、塁に出たらしっかり相手に影響を与えること。バッターにいい影響を与えること。それが自分の仕事なので」。敗戦後、ナインは急ぎ足でバスに乗り込んだが、近本は立ち止まって取材に対応。出てくるワードはどれも、すでにチームを背負っている言葉だった。

レギュラーの勲章を手にした。この日で444打席となり、阪神新人では18人目の規定打席(443打席)をクリアした。「まだまだこれからです」。歴代到達者は吉田義男、田淵幸一、岡田彰布、赤星憲広らそうそうたるメンバー。だが、あくまで通過点だ。

新人11度目の猛打賞は98年高橋由伸(巨人)を越え、同僚の先輩福留(当時中日)に並んだ。特にここ6試合は確変が起こったようにヒットを量産。25打数16安打で打率は驚異の6割4厘だ。7、8月の打率も3割5分2厘と虎の「新・夏男」になりつつある。

シーズン換算では164安打にペースアップ。セ・リーグ記録の58年長嶋茂雄の153安打を越え、56年佐々木信也の日本記録180安打超えも夢ではない。それでも「今(自分の)状態はいい。悪くなったときにどうするか…」と自分を見失うことはない。

「次からは勝利に貢献できるようにやっていきたい」。6日のヤクルト戦(神宮)からは真夏の9連戦が始まる。猛暑での戦いは疲労もたまるが、フレッシュな新顔は暑さにも負けない。【真柴健】

▼近本が通算444打席とし、セ・リーグの規定打席443を満たした。阪神の新人では、16年高山以来18人目(プロ野球初年度の1936年を除く)。

▼近本の1試合4安打は7月30日中日戦に次ぎ2度目。通算116安打とし、シーズン換算なら164安打に達するペースだ。セ・リーグ記録は58年長嶋茂雄(巨人)の153安打。プロ野球記録の56年佐々木信也(高橋)の180安打には残り42試合であと64安打。1試合平均1・52安打を重ねていけば到達できる。

▼猛打賞は11度目。年間15度ペースでプロ野球の新人最多、長嶋の14度の更新も射程に入れている。