恩返し弾だ! 育成選手の日本ハム海老原一佳外野手(23)が19日、2軍本拠地の千葉・鎌ケ谷で行われた母校・創価大との交流試合の2回に、左翼へ先制ソロ本塁打を放った。6月19日のBC富山との交流試合(高岡)以来2カ月ぶりの1発を後輩らの前で披露した。7月末が期限だった今季中の支配下選手登録は逃したが、再出発を誓うアーチを力強く描いた。

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海老原はホッとした表情で「風ですかね。でも、味方してくれて良かった」と笑みを浮かべた。2回に逆方向となる左中間へ舞い上がった打球は、上空の風にも乗って芝生席へ着弾した。

長打力が持ち味の左のスラッガーは、2カ月も本塁打の感触を味わっていなかった。蓄積疲労などでスイングのキレを失い、打撃の歯車がかみ合わなくなっていた。最近は2軍の遠征に同行せず、鎌ケ谷に残留して打ち込む日も多かった。「打ち込みで修正できたと思う」と振り返った。

元気に、前向きに野球に打ち込む姿を恩師に見せることができた。2年前まで在籍した母校との一戦。4年間師事を仰いだ創価大・岸監督からは試合後、「打たせてやったんだ」と冗談交じりに声をかけられたが、日本ハム関係者に「“エビちゃん”を、お願いします」と頭を下げていた恩師を喜ばせるアーチとなった。

育成選手の海老原にとって、今季中の支配下登録はかなわなかったが、下を向いている時間はない。最大のセールスポイントである本塁打を、ここから積み重ねてアピールを続けなければいけない。「調子は上がってきていると思います」。試合後も室内練習場でバットを振り込んだ。不調を乗り越え、どんな姿に成長できるか。次は恩師をもっと喜ばせる報告をするため、日々精進していく。【木下大輔】