日刊スポーツ評論家陣による今回の「野球塾」は、阪神85年日本一の守護神で元投手コーチの中西清起氏(57)です。

3位まで2ゲーム差に迫る阪神は3日から2位DeNA、3位広島と敵地6連戦。逆転CS進出をかけた「天王山」と位置づけ、3番福留や4番マルテら中軸のバントも辞さない一戦必勝を指南です。【取材・構成=松井清員】

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いよいよ、その時が来たね。阪神は3日から、2位DeNA、3位広島と敵地で6連戦を戦う。3位まで2ゲーム差。上位との直接対決は、勝てば一気にゲーム差を詰めて順位の逆転も可能で、負ければ一気に突き放される可能性もある。文字通り、今季の命運を握る「天王山」の6連戦だ。

Aクラスのチームを倒さない限り、Aクラスには浮上できない。もはや、内容はどうでもいい。とにかく一戦必勝。状況次第では、3番福留や4番マルテらのクリーンアップにバントさせる作戦に出てもいい。投手陣は安定感があるが、やはり課題は攻撃陣。少ないチャンスを生かして、いかに1点を積み重ねていけるか。多くの得点は望めないだけに、しっかりしたスモールベースボールで得点機を作ることが大切になる。

もちろん投手陣は総動員だ。先発はゲームを作るとかは考えず、飛ばせるだけ飛ばして、早めの継投でどんどんリリーフ陣を注ぎ込みたい。中でも、6連戦の先陣を切る3日の青柳が一番重要だ。勝てばチームに勢いがつくし、もし3位と1ゲーム差になればもう押せ押せ。相手はますます慌てるし、こうなると、追いかけるチームが優位だ。幸い、今季のDeNA戦は13勝7敗1分けと相性がいい。初戦を取ると、一気に走れるチャンスが出てくる。

ここまでくるとどんなミスも許されない。それはベンチの采配も同じ。スタメンに誰を並べるかはもちろん、代打、継投すべてにベストの選択ができるかが明暗を分ける。試合前練習からじっくり見定めて、少しでも調子のいい選手を使いたい。もちろん、相手も同じように一戦必勝態勢でくる。それに負けない強い気持ちをみんなで共有し、一丸で勝ち抜いて欲しい。ここで頑張らないといつ頑張るんだ。その時が来た。