幻の一打となった。阪神近本光司外野手が初回に中前打を放ち“今季134安打目”をマークした。DeNA上茶谷の低めのチェンジアップにタイミングを外されることなく、バットを合わせた。だが、その裏の守りに就いた後に降雨、落雷の影響で試合が2度中断。そのままノーゲームが決まった。

チームバスに引き揚げる際には「チェンジアップが頭にあった。練習でしていることがうまくできました。それが分かっただけでもよかったです」と語り、手応えを感じる一打だった。あまりの好感触に「明日は嫌な1打席目になりそうですね」とジョークを飛ばすほど。仕切り直しの4日の試合に向けて「余計なことは考えずに臨みたいです」と気を引き締めて、横浜スタジアムを後にした。

今回の遠征前に近本は「1本に終わるんじゃなくて、勝つために2本、3本と増やしていきたい」と複数安打への意欲を燃やしていた。球団新人最多安打まで残り3本で、記録更新は確実となっている。この日は幻の一打となったが、近本のバットは開幕から虎を先導している。ここ最近は同じく新人の木浪と1、2番コンビを形成。逆転CS進出へ「キナチカ」で初回から得点を奪い、チームを勢いづかせたいところだ。残りは20試合。頼もしい「虎のヒットマン」がシーズン最後まで突っ走る。【真柴健】