広島小園海斗内野手(19)が待望の「マツダ1号」を放った。7点を追う3回先頭で、阪神先発西のシュートを右中間スタンドに運ぶ3号ソロ。5回に二塁内野安打、7回に左翼へ二塁打を放ち、三塁打が出ればサイクルの打ちっぷりでチームをもり立てた。連勝は2で止まったが、3連敗となった2位DeNAとの2ゲーム差は変わらず。最後まで全力プレーを続ける。

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打った瞬間、柵越えを確信した。7点を追う3回先頭。小園は阪神先発西の甘く入ってきたシュートを、右中間スタンドに運んだ。7月28日に神宮でヤクルト大下から放って以来、110打席ぶりの3号ソロ。マツダスタジアムが一瞬で沸き上がる中、軽快な足取りでベースを回った。「本拠地では初めてなんでうれしかった」と振り返った。

大量ビハインドを背負っても、あきらめずに安打を重ねた。5回先頭で二塁内野安打。7回2死走者なしでは左翼に二塁打。三塁打ならサイクルの9回は「対戦できて光栄」と話す藤川に空振り三振に仕留められ、悔しさをあらわにした。「(7月26日ヤクルト戦に続き)サイクルは2回失敗しているので、次はがんばりたい」と貪欲だった。

7月15日に再昇格してから1軍同行を続ける。口には出さないが疲れはたまり、1日1日体調が変わる。痛恨の適時失策も経験し、1軍の怖さを知って眠れなくなることもあった。それでも前に進むしかない。6日は東京から始発の新幹線で移動し、早出特打でナイターに備えた。がむしゃらな姿勢を貫いている。

元チームメートの奮闘が励みだ。U18W杯に日本代表として参加している星稜・奥川恭伸投手は、昨年の高校ジャパンの同僚。ストライクゾーン、判定、食事、宿舎など、普段と異なる環境で戦う国際試合の難しさをともに味わった。出発前には「がんばれよ」とLINEを送っている。5日のスーパーラウンド・カナダ戦で7回18三振を記録する姿を見て「すごいですね」と話していた。負けていられなかった。

泣いても笑っても、ペナントレースはあと12試合。小園はチームのため、ファンのため、力を振り絞って戦う。【村野森】

▽小園は赤松の引退を惜しんだ。1月の合同自主トレ初日に、声をかけてくれた先輩。報徳学園の大角健二監督が、赤松の立命大時代の先輩ということを話してくれたという。2軍戦でもべンチで盛り上げ、誰にでも優しく接する姿を目の当たりにしており「さみしいですね」と話した。