秋風は骨身に染みる。阪神が最下位確定のヤクルトにまた不覚を取った。打てず守れず抑えられず…。まさに「三重苦」の完敗で、ついに5位に転落した。矢野燿大監督も険しい表情で「期待に応えられていないのは本当に悔しい」と話した。

先発高橋遥が抑えられない。1回に1失点したあとは2回以降、立ち直ったかに映った。だが、またも燕打線につかまる。5回2死二塁。塩見に高め速球を強振されると、ライナーは右中間をグングン伸びる。そのままスタンドイン…。直後にはバレンティンに初球の内角スライダーをすくわれて左中間に2ランを被弾。致命的な4点を失った。

1週間前の12日も塩見やバレンティンに痛打されていた。立ち上がりと打者3巡目の失点も同様だ。今年はローテーションで奮闘してきたが自身4連敗。指揮官も「疲れも出てくる。打者も自分の投球や球筋や、いろんなことが分かってくるなか、どうしていくかは誰もが通る道。壁に当たっている」と奮起を求めた。

打線が小川を打てず、今季14度目の完封負け。試合後の矢野監督は何度も首をひねった。「う~ん。早い回にちょっと点を取れば変わっただろうけど結局、ズルズルいった」。この日はベテラン福留を休ませ、植田を7月17日中日戦(豊橋)以来となるスタメンに抜てきし、2番に置いた。好調の近本をプロ初の3番で起用したが実らなかった。

野手が手堅く守れない。7回無死一、二塁。山田哲の低いライナーを三塁大山がダイレクト捕球した。飛び出した二塁走者広岡はあわてて帰塁するが大山が二塁悪送球失策。その後、2点を失うミスになった。指揮官は渋面で「特に送球のエラーというのはしっかりしていかないと」と苦言を呈した。守備力は今季の泣きどころだ。リーグワーストの今季99失策。大台到達なら00年の101個以来、19年ぶりの屈辱を味わう。

逆転CSを目指すはずが7月20日以来、約2カ月ぶりの5位に落ちた。3位広島は遠ざかり、中日にも抜かれた。指揮官は「残り試合をどうやるかが俺らにとっては一番大事」と言い聞かせるが21日にもCSが完全消滅する可能性がある。絶体絶命の窮地に追い詰められた。【酒井俊作】