阪神西勇輝投手(28)が痛みをこらえ、オリックス時代の昨季に続く2年連続2ケタ勝利となる10勝目を手にした。

アクシデントは初回だった。1番梶谷の打球が右足首付近を直撃。ボールをつかみ一塁へ送球したが、痛みに顔をゆがめ、しばらくその場を動けなかった。だが、1回を無失点で乗り切ると、その後も走者を背負いながら3併殺を奪い、5回4安打無失点。「(足は)普通に痛いです。それでもハプニングがあるなかで、ゼロで5回という形で最低限投げられて、本当に良かったです」。逆転CSの可能性をつなぐ勝利をもぎ取った。

負ければCS消滅の重圧にも勝った。前日27日の夜。女房役の梅野にLINEでメッセージを送った。「今持てるものを出そう。精いっぱいやれることをやって、明日の試合を楽しんで、お互い頑張っていこう」。苦境でも笑顔を絶やさない、西らしい言葉だった。

後半戦は11試合で7勝1敗と驚異の勝率。自身5連勝で、チームの01年以来の2ケタ勝利投手不在の危機も阻止した。矢野監督は「勝たなあかんなかで粘りの投球を、アクシデントもありながら投げてくれたのは、チームに0点以外のものも与えてくれた」とねぎらった。西は「あと2個、死にもの狂いでチーム全員で勝って、鳥谷さんと1日でも長く戦えれば。それがかなえばうれしい」。大逆転CS進出の実現へ、バトンをつないだ。【磯綾乃】