関西運動記者クラブが昨年活躍した選手や団体をたたえる「関西スポーツ賞」の表彰式が20日に大阪市内のホテルで行われ、阪神近本光司外野手(25)が特別賞を受賞した。

母校関学大のアメリカンフットボール部前監督で功労賞を受賞した鳥内秀晃氏(61)から2年目のジンクス打破へ、熱烈エールを送られた。

   ◇   ◇   ◇

近本は背筋をピンと伸ばし、大先輩の言葉に耳を傾けた。「2年目も何も関係あらへん。ちゃんとやる、ちゃんとやってくれる。ジンクス、関係なし!」。関西スポーツ賞表彰式後、報道陣に囲まれる鳥内氏に近寄って激励を受けた。「プレッシャーちゃうで? あかん時は、そりゃしゃあない。切り替え、切り替え!」。威勢のよい鳥内節を最後まで聞き入り、「ありがとうございます。頑張ります」と丁寧にお辞儀をした。

関西を代表する名伯楽からの言葉に、何度もうなずいた。鳥内氏は常勝軍団の関学大アメフト部「ファイターズ」の監督を28年務め、学生日本一を決める甲子園ボウルで12度の優勝を果たした。勇退に伴い、同スポーツ賞の功労賞を受賞。この日が初対面だった。鳥内氏は日頃から選手たちに「注目されて、あれだけマスコミが取り上げてくれるというのはありがたいことやぞ。その中でどんなプレーをするねん?」と指導してきたという。近本にも「プレッシャーは仕方がない。勝ち負けがあるんやから」と、これまでの経験から鳥内流のエールを送った。

近本も「どんなすごい方なんだろう」とこの日の対面を心待ちにしていたという。関学大在学中は、常勝軍団を作り上げるその手腕に「組織をつくるのがすごい上手だと思っていた。人間性やそういうところを指導されていたと感じました」と印象を語った。

近本は大阪ガスで都市対抗を制し、団体賞を受賞した昨年に続く2年連続受賞となった。新人イヤーの昨季は入団時から掲げた盗塁王を獲得し、リーグ新人最多安打記録も更新。「大きな目標より、目の前のことをしっかりやってきた。実感はあまりないです」。コツコツ積み上げてきた結果が報われた。今季の目標に掲げる個人での盗塁王、チームでのリーグ優勝&日本一をあらためて誓った。「また、これから続けて受賞したいなと思います」。悲願を達成し、来年はチームでこの場に帰ってくる。【奥田隼人】