上々発進だ。広島ドラフト1位森下暢仁投手(22=明大)が8日、プロ入りして初めて打者を相手に登板した。

フリー打撃で堂林と西川と対戦し、堂林には23球投げて安打性3本。西川にも23球で1本の柵越えを含む安打性6本だった。投じた46球はすべて真っすぐ。本人の自己評価は厳しめだが、切れのある球をストライクゾーンに集める投球内容に周囲の評価は高かった。

   ◇   ◇   ◇

球場に訪れた全員の視線が、マウンドの背番号18に注がれた。新人の森下が、エース大瀬良、新外国人2投手、抑え候補のフランスアと続いたフリー打撃登板のトリを飾った。今キャンプ最多9000人のファン、駆けつけた両親、ケージ裏に集まったOB、スカウト、チームメートらの視線も気にしない。左足をゆっくり上げると、体の軸がぶれることなく踏み出し、しなやかな腕の振りから切れのある球を投げ込んだ。

堂林には真っすぐのみ23球。中堅フェンス直撃の当たりを2本打たれるも、7球ファウルを奪った。続く西川にも真っすぐ勝負。「球が滑らないようにきっちり投げられるかを考えた。(左の西川には)きっちり投げ切れていなかった」。23球を投じて1本の柵越えを含む6本の安打性の当たりを打たれた。

2人との対戦を見守った佐々岡監督は「バランスがすごく良く、崩れることもなく、制球もある程度まとまっていた。スピン量があって、球速以上に速さ、切れを感じたと思う」と高く評価した。監督だけでなく、コーチや対戦した打者、007も認める上々発進にも、本人の満足度は「半分半分」と厳しめだった。

バランスよく投げられた球ではファウルなど押し込むことはできたが、上体がやや突っ込むと球質、制球がともに落ちたと自己分析する。「全部が全部いい球だったわけじゃない。沈んだり、打たれたりした。(いい球の)確率を上げたい。しっかりとトレーニングやキャッチボールなど、丁寧にやるところは丁寧にして、1日1日を無駄にならないようにやっていきたい」。最速143キロもこれから上がっていくだろう。目標を見据えながらも、足元を見つめることも忘れない。期待を一身に背負う黄金新人は、開幕ローテ入りは1日にして成らずと心得ている。【前原淳】

     ◇   ◇   ◇

▽広島西川 切れはもちろんありましたよ。きれいな(回転の)球を投げていた。手元の強さもあったし、高めは球威もあった。さすがドラ1やなって感じ。

▽広島堂林 スピンが利いたいい球を投げていた。ほとんどストライクゾーンに来ていたし、コントロールもある。

▽広島沢崎投手コーチ いいものを出してくれた。真っすぐと分かっていてポップフライも打たせていた。バランスがいいね。

▽阪神太田スコアラー 戦力としてローテーションに入るんじゃないか。要警戒。無駄がないきれいなフォームで投げている。