レギュラー奪取に挑む。広島堂林翔太内野手(28)が20日、ポジション争いが激化するオープン戦を前に、レギュラー取りへの意欲を明かした。広島の主砲として3連覇に貢献したOB新井貴浩氏(43)の激励をきっかけに打撃感覚が向上。実戦でも好結果を残し、安部との一塁争いを繰り広げている。一塁レギュラー大本命だった松山の離脱で巡ってきたチャンスは逃さない。

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バットヘッドを投手に向けて構える姿勢からも自信がみなぎる。堂林が6年ぶりの開幕スタメンをアピールするように快音を響かせている。この日も朝から早出特打を行い、投内連係や内外野守備では一塁に就いた。一塁レギュラー大本命の松山が離脱し、空席を安部とともに争っている。

「ものすごくいいチャンスが巡ってきたと自分でも思っています。こうやって一塁守備にも使ってもらっている。打つこともそうですが、守ることも全部やって、しっかりファーストに就ければと思います」

すでに松山が別メニューとなっていた14日、大きな転機があった。ロッテとの練習試合に途中出場で1打数無安打に終わると、広島OB新井氏から打席での姿勢を指摘された。「構えているバットヘッドをそのまま投手に突き刺すくらいの勢いでいい」。技術ではなく、感覚の話。「全部がそろった感覚がありました」。師弟関係にある2人だからこそ理解し合える。師からの激励で、心と頭の中のもやもやが晴れていった。

確かな手応えがある。激励を受けた15日以降は実戦3試合で10打数5安打1打点。「今は感覚的にいい」。直球への対応力は首脳陣も評価しており、課題は変化球の対応力。「もっと振る数が増えれば結果も出てくると思っている。しっかり真っすぐ立って、軸で振ることを意識してやっています」。まずは甘い変化球を一発で仕留める技術が求められる。

対外試合4試合で一塁スタメンを分け合っている安部との一騎打ちの争いとなっている。朝山打撃コーチは「まだ松山の線は消えていないが、(開幕戦の中日先発は)大野(雄)ですし、現時点では堂林かな」と期待を寄せる。22日にはオープン戦初戦を迎え、チーム作りが最終段階に入る。チャンスをつかみ取るためには、バットで結果を残すしかない。【前原淳】