楽天のドラフト2位ルーキー黒川史陽内野手(18=智弁和歌山)が、成長の日々を過ごしている。8日、中日とのオープン戦(静岡)が雨天中止となり、全体練習を終えた午後から、室内で居残り練習を行った。期待の表れだろう、フリー打撃では三木監督が打撃投手を買って出た。黒川の父洋行さんとは上宮高(大阪)で2年後輩に当たる同監督を相手に、約1時間打ち込んだ。

「愛のボール」へ必死に食らいついた。黒川は「1球のミスも許さないバッティングをしようと思いました」と、試合さながらの集中力で一心不乱にバットを振り続ける。手応えを感じたようで「監督のボールは手元で伸びていて、実戦を想定した練習ができました」と、気持ちよさそうに汗をぬぐった。

高校通算34本塁打を誇る好打者も、プロの壁に直面している。高卒新人で唯一のキャンプ1軍スタート。当初は久米島1次キャンプのみの1軍帯同予定だったが、キャンプMVPに挙げられるほどのアピールを重ね、金武町2次キャンプまで1軍に名を連ねた。2月22日DeNA戦でオープン戦出場を果たし、2打席目で中前打も放った。だが、その後は8打数無安打。通算10打数1安打、打率1割と苦しんでいる。黒川は「(プロは)1球1球のコントロールであったり、ボールの質が違います」と、実力差を肌で感じている。

キャンプ直後から三木監督も「いい能力を持っている選手」と高く評価している。だからこそ「ここ(1軍)でやることに意味もあるし、ファームで試合に出て覚えることもある。兼ね合いはしっかり理由をつけて進めていくことが大事」と熟考を重ねながら、将来の主軸として育てていく。黒川も「1球で仕留める。1スイングで1打席を終えるぐらいの気持ちでやっていきます」。野球に取り組む気概にも、スター性がにじみ出ている。【佐藤究】

▽楽天三木監督 状況が状況なので難しい。僕たちは開幕に向けてやっていくことは変わらない。今の形で選手としっかり進めていくしかない。