真の4番は俺だ!! 阪神ドラフト2位の井上広大外野手(18=履正社)が20日、2軍練習試合の中日戦(ナゴヤ球場)で豪快アーチをかっ飛ばした。

相手の同1位石川昂弥内野手(18=東邦)と4番初対決。同学年の右打ちスラッガーに会心打撃を見せつけた。

4回2死。2ボールからの3球目だ。1軍経験豊富な左腕笠原相手に、高め速球を強振した。守る中日野手陣は誰も1歩も動けない。痛烈な大飛球は軽々と左翼フェンスの向こうへ消えた。「完璧でした」。手応え十分の一撃。2月中旬からのプロ実戦で早くも4本目の量産だ。直前の3回、右翼守備で石川昂の飛球を落球。「あのエラーで吹っ切れた。開き直って、自分らしいスイングができた」と振り返った。

高校通算49本塁打の井上にとって刺激たっぷりの1日だった。石川昂は昨春センバツVに導いた東邦の3番で、高校55発を放った大砲だ。昨秋のU18W杯では日本代表の4番でアーチも放った。一方の井上は夏の甲子園で活躍し、履正社を優勝に導いた立役者だが、侍はメンバー外。悔しさも味わった。この日はグラウンドであいさつ。「自分が(直接)勝負するわけじゃない」と冷静だったが、気になる存在なのは確か。「どういう打撃をするのか、どういう球を狙うか、外野から見て勉強になる」。会心のアーチで、ジャパンを外れた意地を見せた形だ。

4番の王道を歩む。6日の教育リーグ中日戦から先発した2軍戦全8試合で打順は不動だ。平田2軍監督は「4番として戦う姿勢が見えなくなったら外す。それ以外は使う」と断言。「今日は石川もいた。切磋琢磨(せっさたくま)してね。同学年のいいバッター。ライバル心を持ってやらないと」と続けた。8日にはオープン戦の巨人戦で、左越え適時二塁打。1軍戦でも存在感を示したが、その後も着実に進化成長中だ。

石川昂も負けじと6回の満塁機で中前に2点適時打を放った。セ界大砲候補の2人が、プロで初めて交差した。これから、どんな成長曲線を描くのか。まずは、井上が強烈な先制パンチをかました。【酒井俊作】

<阪神井上と中日石川昂の打席結果>

【阪神井上】4番右翼

(1)一ゴロ(2回先頭)

(2)左本塁打(4回2死走者なし)

(3)三飛(7回無死一塁)

(4)右前打(9回先頭)

【中日石川昂】4番三塁

(1)二併(1回1死一、三塁)

(2)右失(3回2死走者なし)

(3)右飛(5回無死二塁)

(4)中前適時打(6回1死満塁)

(5)二飛(7回2死走者なし)

<阪神井上&中日石川昂の甲子園V貢献メモ>

井上の19年夏の甲子園V 決勝星稜戦で奥川から3ランを放つなど3本塁打。打率3割8分5厘、14打点

石川の19年春の甲子園V 決勝習志野戦の2発など3本塁打。全5試合に先発登板していずれも勝利投手