力強い“燕のゴジラ”が、神宮に帰ってきた。ヤクルトの4番村上宗隆内野手(20)が、今季初打点をマークした。

本来はシーズン開幕戦として迎えるはずだった阪神戦で、5回に適時三塁打を放つなど5打数2安打1打点。守備では三塁と一塁を問題なくこなしフル出場した。下半身のコンディション不良から完全復活へ、昨季のセ・リーグ新人王が、強力打線をけん引する。

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静寂に包まれた神宮に、乾いた打球音が響いた。5回2死一塁、村上の白木のバットが阪神3番手エドワーズの甘く入った初球147キロ直球を捉え、右中間を破った。本来ならファンの歓声が降り注ぐはずの三塁打。「こういう雰囲気で野球をやったのは初めて。ファンの方のありがたみを感じた。ファンのみなさんが入った球場で、最高のプレーをしたい」と思いを募らせた。

4番の責任は感じている。高津監督のオーダーでは、山田哲、青木ら偉大な先輩が前に並ぶ。「どの打順でも打点にはこだわってやるけど、4番に座るなら、よりチャンスで回ってくる。より責任を果たしたい」。6回からは一塁の守備に回り、今季初めてフル出場。7回にも右前打を放ち、5打数2安打1打点。高津監督は「まだ投手との感覚にズレがあるが、振れるのは彼の強み。(本来の姿に)少しずつ近づいている」と話した。

キャンプ中に下半身のコンディション不良で離脱。本来の開幕に合わせて急ピッチで調整し、まだ万全ではない。オープン戦の打率も0割8分3厘だった。19日の練習では、腰下と左膝上に2本のゴムを巻き、宮出ヘッドコーチに後ろから押さえてもらいながらティー打撃。前に突っ込まないよう意識している。宮出ヘッドは「本人も、いろいろ考えている。ここから時間がたてば、さらに状態は上がっていくはず」と姿勢を認める。

昨季96打点。主砲バレンティンが抜けた今年、さらに期待がかかる。「優勝することが一番の目標。ファンとチームのみんなと喜び合いたい」。一刻も無駄にはしない。【保坂恭子】