お待たせしました!日本ハムのクリスチャン・ビヤヌエバ内野手(28)が21日、西武との練習試合(メットライフドーム)で、巨人から移籍後、第1号となる逆転3ランを左翼席へ運んだ。新天地にやって来て、実に17試合目。背番号と同じ「44」打席目での初アーチに栗山英樹監督(58)もご満悦。春到来とともに、眠っていた新助っ人の打撃が、ようやく目覚めの時を迎えた。

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待ちに待った瞬間が、ようやく訪れた。0-1の4回1死一、二塁。日本ハムのビヤヌエバは、ストライクゾーンに入ってくる獲物を、辛抱強く狙っていた。フルカウントからの7球目、西武松本の外寄り142キロの直球をジャストミート。バットの芯で捉えた打球は、低い弾道で左翼フェンスを越え、無人の客席で軽やかに跳ねた。逆転3ランに「一番自分が望んでいたから、うれしい。最高です」。巨人から移籍後、実戦17試合目、背番号と同じ44打席目で飛び出した初アーチに、ひと安心だ。

生みの苦しみを味わった。オープン戦の打率は1割ちょうど。ヒットを打つことすら容易ではなく、沖縄・名護での春季キャンプ中には、主将の西川に「試合、出たくない」と、日本語で愚痴をこぼしたことも。「バット、ウエークアップ!」と暗示をかけた日もあった。「練習の時も打席でも、意識を高く持ってやっている」。折れそうな心を何度も奮い立たせ、実直に野球と向き合ってきた。

球団は、不在だった三塁の定位置を任せられる存在として期待する。もともと、守備には定評がある。あわよくば、日本ハム在籍時の16年に本塁打王となった、レアード(ロッテ)に代わる活躍を-。首脳陣の間では、いつしか「打つまで待とう、ビヤヌエバ」という合言葉が生まれた。

待望の1発に、栗山監督は「心待ちにしてましたよ、サクラが咲くの。今日みたいな完璧な1発だったら、きっかけになるかもしれない」と祈った。「(性格が)真面目すぎるんだよ。もう少し、あっけらかんとやってくれたら。真面目さが、良い面と悪い面と出る時がある。悪い時に一緒に悲しんであげられたらいい」と指揮官。今後も寄り添いながら、メキシカンの打撃開眼を待つ方針だ。

来日1年目の昨季、巨人で放った公式戦8本塁打のうち、5本が4月に生まれた。桜前線の北上とともに、間もなく本領発揮の季節がやって来る。【中島宙恵】