「2代目若大将」巨人岡本和真内野手は、無の境地で苦難を乗り越える。8日、川崎市のジャイアンツ球場でランニング、キャッチボール、バッティングをこなした。中島、炭谷、小林、大城、丸、坂本らも各自調整する中で、1人黙々と三塁でノックを受けた。

政府が発令した緊急事態宣言を受けて、「12日」までだった個人調整期間は「当面の間」に延びた。先が見えない中、体だけでなく、精神面でもコントロールが難しい。そんな不透明な状況でも動じない。

岡本 僕はなにも考えません。「無」ですね。毎日できることをやっていくだけです。何も変わりませんよ。

これまでも多くを語らず、その背中で示してきた。高卒4年目となる18年の交流戦中に巨人軍の89代4番に座り、その年に史上最年少(22歳3カ月)で打率3割、30本、100打点を樹立した。計り知れないプレッシャーを味わいながら、結果を残し続ける。今年は「ビッグベイビー」の愛称から「2代目若大将」の名も授かった。それでも「僕なんかまだまだですから」と口癖のように言い、どんな状況でも堂々と振る舞ってきた。未曽有の事態に遭遇している今も、「無」で歩みを進める。【栗田尚樹】