阪神、日本ハム、メジャーでプレーし、14年ぶりの日本球界復帰に挑戦する新庄剛志氏(48)が21日、引退後初となる連載『みなさん、夢はあるかい!?』の最終回で、再びプロ野球選手になることに自信を示した。亡き父・英敏さん、難病と闘っている姉・真由美さん、愛犬ラナちゃんの存在を明かし、夢について語り尽くした。【取材・構成=寺尾博和編集委員】

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おれの心のよりどころは愛犬ラナちゃんです。このたびワクチン注射が無事終わりました。もう一匹、おとぼけティクくんという犬も飼ってて、コロナ次第ですが、みんなで帰国するタイミングをみてます。

おれがアラフィフ(48歳)で日本球界復帰に挑戦するのは、破天荒だったおやじ(英敏氏=11年死去)の影響を受けてます。うちは運動靴も買えないほど貧乏だったが、おやじの厳しさと明るさに支えられた。メッツ時代にニューヨークでエンパイアステートビルをみて「おっ、これがキングコングが登ったビルばい!」と叫んだ。あんなにメジャー行きに反対していたのに、摩天楼に感動して帰っていった。

もう一人、ユニホーム姿を見せたいのが、指定難病と闘う2つ年上の姉ちゃん(真由美さん)。母ちゃんに「姉ちゃんが難病なっとるよ」と言われて会ったときは立ちすくんだ。

髪の毛が抜け、筋肉は収縮し、肌が黒くなって、100歳ぐらいのおばあさんみたいにちっちゃくなってた。何十万人に1人の難病らしくて、それがすべてじゃないけど勇気づけてあげたいんです。

おれはこれまで4つの夢をかなえてきた。小1のときカウンタック(ランボルギーニ)にあこがれた。2つ目はプロ野球選手で、次がメジャー。そして日本一です。でも日本球界へのカムバックが5つ目じゃない。

夢にたとえるなら、このトライを通じて、みなさんに明るくなってもらうのが夢です。応援してほしいとか思ってません。おれの姿に「このアホ、なんかおもろいことやってるな」って笑顔になってほしい。

プロ野球選手になるのに50歳手前で一から体を作って挑戦するやつなんていないでしょ。最初は1キロ走っただけで足がちぎれると思いました。でもある球団のレギュラーの映像をみておれのほうが勝ってると感じるぐらい体ができてきた。

阪神時代に「宇宙人」と言われたのは、ろくに練習もせず、ちゃらんぽらんにしているように見えたからでしょ。でもほんとはメチャクチャ練習した。プロは結果の世界、練習見せる必要なんてない。でも今は見てほしい、見せたいと思ってるんです。おれが夢を追いかける姿をね。

「また、宇宙人がなんかやっとるぞ」って笑ってほしい。こんなこというと叱られるかもしれないが、コロナの話題、もういいよ。うんざり。みんなケアしてるじゃない。必死で生きてるんだ。みなさん、夢はあるかい? シンジョーツヨシ、日本に帰ります。