念願のNPB(日本野球機構)入りをつかみ、ライバルに追いつく。新型コロナウイルス感染拡大で開幕が延期していたルートインBCリーグは、当初予定から約2カ月遅れて、20日に開幕を迎える。福島に今季新加入した菊名裕貴内野手(24)は苦境に負けず練習に打ち込み、開幕を信じて状態を仕上げてきた。

菊名は東北の名門で学生時代を過ごした。埼玉から仙台育英(宮城)に進学し、2年夏に甲子園出場を経験。翌年は主力として聖地の土を春夏ともに踏んだ。東北福祉大4年時には主将を務め、同年春に初のベストナインを獲得し、2年連続の全日本大学野球選手権出場に貢献した。

しかし同年秋にプロ志望届を提出したが指名漏れ。悔しさをバネに「大学卒業2年後のドラフト指名」と気持ちを切り替え、社会人野球のバイタルネット(新潟)で2年間プレーしたが、指名はなかった。「社会人で3年目をやる決断よりも環境を変えて、元プロ選手の指導を受けられるBCリーグに挑戦しよう」と退団を決意。昨年11月のトライアウトを経て入団し、NPB入りへの挑戦を継続する道を進んだ。

菊名と高校、大学時代のチームメートで、NPB入りした選手はソフトバンク上林、DeNA楠本ら5人を数える。同じ埼玉出身の上林については「すべてを野球にささげるような選手で、同級生ですけど野球人として尊敬できる。自分も負けずに頑張ろうと思わせてくれる存在」と刺激を受ける。目標は「独立リーグ日本一になって岩村(明憲)監督を胴上げして、NPBに行く」。同球団史上初のドラフト指名を果たし、夢の扉を開く。【相沢孔志】

◆菊名裕貴(きくな・ゆうき)1995年(平7)8月25日生まれ、埼玉・吉川市出身。関小3年から野球を始め、中央中では草加ボーイズに所属。仙台育英から東北福祉大に進学し、2年秋からベンチ入り。社会人野球のバイタルネットで2年プレー。右投げ左打ち。50メートル走5・8秒。遠投100メートル。170センチ、75キロ。趣味は釣り。