イーグルスには「恐怖の8番」がいる。2年目の楽天太田光捕手(23)が、日本ハム戦でプロ初の猛打賞となる4打数4安打の固め打ちを決めた。開幕から8戦すべて「8番捕手」でスタメン出場。ここ5試合で15打数8安打、打率5割3分3厘と絶好調だ。本職でも強力投手陣を引っ張り、チーム防御率はリーグ2位の2・63。1度つかんだ正捕手の座は渡さない。

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絶好調のバットは、止まる気配がなかった。9点リードの8回先頭。ここまで3安打の太田は、日本ハム鈴木健の甘いスライダーを逃さなかった。三塁線を破る二塁打で4安打目を放った。「甘い球に対して積極的にバットを出せている。できすぎですね」。この回5得点。8番が打てば打つほど、打線は一段と厚みを増す。

好調の要因は「シンプルさ」にある。ゆったりとした構えから、鋭くバットを出す。「無駄な動きをなくすこと。下半身主導の打撃、引っかけないように、と意識して打席に入るようにしています」。余分な動きを最小限に、向かってくるボールへ最大限の力を伝えている。

守備での貢献も光る。今季の盗塁阻止率はソフトバンク甲斐と並び、パ・リーグトップの5割。マスクをかぶったイニングでの自責点からはじき出される「捕手防御率」もリーグトップの2・77(65回、自責20)。55試合に出場した昨季も同トップの3・22をマークした。則本昂、岸、涌井ら豪華な先発陣、昨季リーグトップの救援防御率を誇るブルペン陣をリードし、数字を残している。

正捕手をつかみつつあるが、シーズンは長丁場。三木監督は「キャッチャーはある程度、経験、年齢を取っていかないと難しいポジションだと思う。若さを出しながら、根拠を持ちながら、いろんな経験をしてほしい」と成長を促す。太田は「明日からの試合は気持ちを切り替えて、また守備からしっかりと入れるようにしたいです」と言った。「守れる捕手」に「打てる捕手」とくれば、期待はグンと高まる。【桑原幹久、佐藤究】