長かった。ヤクルトの4年目左腕、寺島成輝投手がプロ初勝利を手にした。

同点の9回に登板。1死から左前打を許したが中日阿部を右飛、大島を外角低めのスライダーで空振り三振に仕留め、無失点で延長10回勝ち越しにつなげた。「(時間は)かかったけど本当にうれしい。あの場面で投げさせていただいて感謝」。緊張の解けた顔をほころばせた。

150キロの速球を武器に16年ドラフト1位で入団。高校四天王と呼ばれた楽天藤平、広島高橋、西武今井に先を越され、左肘痛や制球難に苦しんだ。「この3年は何もしてない。苦しかった」。悩み、考えすぎた。2軍監督だった高津監督からの助言「対自分じゃなく、対打者に意識を向けなさい」を心に留めた。

今オフは理想の左腕像であるDeNA今永に志願の弟子入り。100%で腕を振ること、体を開かず横回転で投げることを心掛けた。今季6試合に投げて防御率0・00。ビハインド展開の出番が多いが「本当に必死。これからも継続したい」と力を込める。

敵地15連戦の大事な初戦に白星を呼び込んだ。長男と同い年の寺島を、時に父のような目で見守ってきた高津監督は「いろんな悔しい思いをして、歯を食いしばってる姿を見てきた。よく頑張ってる。僕もうれしい」と目尻を下げた。【鎌田良美】