阪神が高橋遥人投手(24)でカード頭を制した。復帰3戦目は今季初の中6日。3連勝と好調だった中日を相手に8回1失点と危なげなく2勝目を挙げた。8月の長期ロードを8年ぶりに負け越しで終了。甲子園に戻っての初戦で逆転勝ちを呼び込んだ。チームは通算の借金を2に減らし、甲子園での貯金は6に増やした。やはりV字回復するには聖地で負けられん!

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柱としての責任感が24歳左腕に宿っている。高橋がお立ち台で言った。

「しっかり試合を作れて勝利に貢献できて、すごくうれしいです。カードの頭を任されているので、先週は勝てなかったので、今日は何としてもいい流れを最初に持って来ようと思って投げました」

今季初の中6日登板で、自身最長タイの8回を投げた。6安打5奪三振1失点で今季2勝目。チーム19日ぶりの甲子園ゲームで、勝利を呼ぶ力投だった。

2回に先制を許した。序盤3回に変化球で奪った空振りはゼロ。「調子はそんなに悪くはなかったんですけど、簡単に入ったところを打たれて連打というところも多かった。走者を出しながら、しっかり粘れた」。4、5回も得点圏に走者を背負った。5カード連続勝ち越し中で、8月は勝率1位の好調な竜に苦しめられたが、踏ん張り続けた。

左肩コンディション不良で出遅れ、今季1軍初先発は6日巨人戦。7回11奪三振3安打無失点で勝利投手になると、2戦目は大事を取って中11日に。その18日巨人戦は敗戦投手にはなったが、巨人菅野と堂々の投げ合いを演じた。そして今回、今季最多112球の熱投。「前半もいなかったですし、去年は後半迷惑かけている」と高橋。昨年と今季序盤の悔しさを糧に、勝利への思いが尽きない。

19年は8月1勝4敗で、9月は0勝3敗。試合をつくりつつ、紙一重で勝ちきれずシーズン3勝にとどまった。「そういうところ(紙一重の中)で勝てるのが、いい投手」。勝ちきることへの気持ちを強くして臨んでいる今季、3試合で計22回2失点、防御率は0・82。思いは数字に表れており、矢野監督も「本当に遥人らしいボールがいっていますし、安心して見てられるピッチャーに育ちつつある。素晴らしい投球でした」と成長を認める快投だ。

だが、成長曲線はまだ上昇を描くはず。指揮官は「まだ余裕もあるぐらいの感じかなと思いましたけど」と語り、高橋本人は「このままでまた対戦したら次は打たれるかもしれない。シーズンの中でも成長というか、武器を何個も増やしていけたらな」と言う。チームの借金を2に減らした背番号29が、浮上へのけん引役となる。【松井周治】