ソフトバンク甲斐拓也捕手(27)の「キャノン砲」が猛牛を沈黙させた。といっても自慢の強肩でなく、バットで、だ。

2回1死一塁。上林の犠飛で山岡から先制点をもぎ取った直後。打席に入った甲斐はカウント2-1からの直球を見逃さなかった。143キロの速球を豪快に左翼席中段に運び去った。「山岡投手はすばらしい投手。初球から積極的にいこうと思っていた。久しぶりのホームランが追加点になってよかった。しっかり芯で捉えられました」。9日の楽天戦以来の5号弾。先発笠谷に女房役として最高のプレゼントともなった。

ゲンの良さは相変わらずだった。今季初対決となる山岡とは過去9打数6安打、4打点の打率6割。豪快なアーチを見舞って対戦成績を10打数7安打、打率7割と引き上げてみせた。

今季はホークスOB野村克也氏が着けた「19」に背番号を変更。正捕手としてさらに大きな責任を背負う覚悟でマスクをかぶり続けている。笠谷とともに上がったヒーローのお立ち台で言った。「もっとやれることがあると思う。これからも2人で話してやっていきたい」。後輩左腕のさらなる成長を引き出すつもりでいる。【佐竹英治】