阪神、巨人などが今秋ドラフト1位候補に挙げ、オリックスが1位指名を公表している近大・佐藤輝明内野手(4年=仁川学院)が19日、関西学生野球秋季リーグ最終戦の関大戦(ほっともっと神戸)を首位を守る弾丸タイムリーで飾った。

26日のドラフト会議前最後の試合には巨人、ソフトバンクなど6球団が視察。阪神は和田豊テクニカルアドバイザー(58=TA)ら今秋最多の9人態勢で最終チェックするなど、争奪戦がますます過熱しそうだ。

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近大・佐藤が大学最後のリーグ戦で、ここ一番の勝負強さを発揮した。負ければ優勝争いが限りなく厳しくなる1戦で、昨秋優勝の関大撃破を導いた。4回2死一、三塁で、強烈なライナーで右前へ運ぶ適時打。リードを5点に広げて勝利を決定づけた。「遅めの球。低めは好き。チャンスで打てたのはよかった」。前日通算14号でリーグ本塁打新記録をつくった男が、会心の笑顔を浮かべた。

チームは8勝2敗の首位で全日程を終了。優勝は立命大の結果待ちとなったが、優勝決定戦進出の権利を確保した。「優勝のチャンスがある。気を抜かず準備したい」と引き締めた。

スタンドには、すでに1位指名を公表しているオリックスの下山スカウトや巨人、ソフトバンク、DeNA、日本ハムなど6球団が視察。地元のスラッガーを高評価する阪神は、今秋最多の9人態勢でドラフト会議前最後の試合をクロスチェックした。密を避けることもあり、和田TA、畑山俊二アマスカウト統括らはやや三塁側後方から、担当の渡辺亮アマスカウトらはネット裏から佐藤を見守った。争奪戦がますますヒートアップしそうな勢いだ。

三塁での守備機会も多く、美技も失策もあった。見守った父博信さん(53)は「うまいかヘタかわからん」と苦笑いしたが、ハンドリングのうまさはプロのスカウト陣にも印象づけた。 学生最後のリーグ戦は10試合で打率2割5分7厘、3本塁打、11打点で終えた。佐藤は「満足はしていない。これが今の実力と受け止めて、次のステージでしっかりやっていきたい」と厳しく自己採点した。それでも、ソフトバンク宮田アマスカウトチーフ補佐が「打撃では腕の使い方が柔らかくなって、昨秋、春先よりよくなっている」と評価するように、厳しいマークの中、3本塁打を放った。26日のドラフト会議まであと1週間。希代のスラッガーを何球団が1位指名するのだろうか。【石橋隆雄】

◆阪神の近大・佐藤視察メンバー 和田豊テクニカルアドバイザー、竹内孝行球団本部企画統括、畑山俊二アマスカウト統括、佐野仙好アマスカウト顧問、熊野輝光アマスカウト、山本宣史アマスカウト、田中秀太アマスカウト、筒井和也アマスカウト、渡辺亮アマスカウト