球団初の“道産子1位”誕生へ、ついに決断した。日本ハムの吉村浩ゼネラルマネジャー(GM)が22日、札幌ドームで取材に応じ、26日に行われるドラフト会議で、鹿部町出身の最速155キロ右腕、苫小牧駒大の伊藤大海投手(4年=駒大苫小牧)を1位指名することを明言した。北海道出身者の1位指名は球団初。道内の高校、大学出身者では、06年の高校生ドラフトで1巡目指名したヤンキース田中将大投手(31、当時駒大苫小牧)以来となる。

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ドラフト会議4日前。球団の意見が、ついに固まった。ソフトバンク24回戦を控えた札幌ドームで、吉村GMが静かに口を開いた。

吉村GM 26日のドラフト会議において、ファイターズは伊藤大海投手、苫小牧駒大を1位入札することを決めました。今年のNO・1投手として評価しました。

例年「その年のNO・1」の獲得を目指す日本ハムが選んだのは、最速155キロを誇る地元のスター候補だった。1週間前のスカウト会議の段階では、早大の左腕、早川とてんびんにかけたものの結論には至らず。熟考を重ねて、決断した。伊藤は大学で先発完投のエースとして、大学日本代表では守護神として活躍。同GMは「特に国際試合、ジャパンにおいての投球内容を評価した。潜在能力ですね。先発、クローザーとしての適性までも併せて評価しています」。どちらも、補強ポイントには合致しており、多様な役目を高いレベルでこなせる能力も、大きな決め手になったようだ。

探求心と向上心はピカイチだ。スライダー、カットボール、スプリットなど多彩な変化球を駆使して、重い直球を生かす。横浜、近鉄などで活躍した“奇跡のストッパー”盛田幸妃氏を輩出した鹿部町出身。駒大苫小牧時代に出場したセンバツでは、初戦を完封勝利で飾るなど、早くから地元では注目を浴びてきた。負けん気十分、気持ちの入った投げっぷりは高校時代から変わっていない。大学進学後、下半身は見違えるほどたくましくなった。

栗山監督は「北海道に元気を与えるためにも、ぜひ一緒にやっていきたい」と、交渉権獲得を切望した。球団史上初の“道産子1位”誕生となれば、23年開場予定の新球場を彩ること間違いなし。間もなく、運命の1日を迎える。【中島宙恵】