虎のゴジラになれる! 阪神ドラフト1位の近大・佐藤輝明内野手(21)が27日、東大阪市内の同校で、矢野燿大監督(51)らの指名あいさつを受けた。

4球団の競合の末に交渉権を獲得したアマNO・1スラッガーに、指揮官は初対面からべたぼれ。現役時代に何度も対戦した松井秀喜級の主砲になることを期待した。

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「恋人」との待望の対面に、矢野監督のテンションが上がりっぱなしだった。前日のドラフト会議から一夜明け、「ずっと興奮が続いている。昨日はよく寝れなかったです」と話すと、佐藤輝は「僕はぐっすり眠れました」と返した。対照的な言葉で会場の笑いを誘う。すかさず指揮官は「スケールがちゃうな~」と喜んだ。4球団競合の末に、交渉権を獲得。この大物ぶりこそ求めていた姿だ。

バットへの期待はさらに大きい。本拠地となる甲子園は、数多くの左打者が苦戦を強いられた右翼から左翼へと吹く浜風がある。矢野監督は指名あいさつの席で、現役時代の逸話を佐藤に伝えた。

「現役時代にピッチャーが井川で、2ストライクと追い込んで高めに勝負いった打球を(元巨人)松井秀喜さんに浜風をものともせずに放り込まれた。『すごいな、この浜風で放り込むか』っていう。その印象が今でも残っていて、佐藤君にもその話をした。その打球に負けないようなバッターになっていく可能性を持っている選手」

米ヤンキースなどでも活躍し、日米通算507本塁打を放った「ゴジラ松井」をドラフト1位スラッガーに重ね合わせた。佐藤輝も「そういうスケールの大きい選手になれたら」と正面から受け止めた。

さらに矢野監督はハイレベルな数字を期待した。「彼にも伝えたんですけど、トリプルスリーのさらに上の『40-40』も狙って欲しい。誰も追いつかないようなところまでいってもらえたら」。40本40盗塁。NPBでは誰も達成していない記録に夢を膨らませる。「今のままではもちろん無理。コーチの方々だったり、選手の先輩からいろいろ吸収して、できるような選手になりたい」と指揮官の胸に刻んだ。

地元出身の待望の4番候補。「球界を代表する選手になりたいと思います」と眉ひとつ動かさずに言い切った。甲子園でゴジラ級の活躍を-。タテジマに袖を通して、大暴れする日が今から待ち遠しい。【只松憲】

▼日本プロ野球で、40本塁打と40盗塁を同一シーズンに達成した選手はいない。秋山幸二(西武)が87年に43本塁打-38盗塁、90年に35本塁打-51盗塁と接近した例がある。メジャーでもカンセコ(88年アスレチックス、42本40盗塁)ボンズ(96年ジャイアンツ、42本40盗塁)ロドリゲス(98年マリナーズ、42本46盗塁)ソリアーノ(06年ナショナルズ、46本41盗塁)の4人しかいない。